第202話
初日には魔法研究会の部長が暴れた以外の問題は起こらず、平和に終わって行った。
そして、次の日からは外部からも人が来ると言うことで、学内は最終調整で慌ただしくなっていた。カイ達もクラスの出し物の手伝いで学園に遅くまで残っていた。
最終下校時間までには準備がひと段落したため、カイとミカはいつも通り一緒に帰る。だが、最近ではその中にトランを入れて3人で帰っていた。
「今日のは予行練習みたな物だったけど、2人ともどうでした?楽しかったですか?」
「楽しかったよー。それに知らない部活とか知れたしね」
「どこか入りたいと思う所はありましたか?」
「うーん、特には…。家でカイと特訓した方が面白いと思っちゃって」
「本当に2人は仲いいですね。何か喧嘩することとか無いんですか?」
「無いよね?」
「無いね。あー、でもカイが秘密主義なのは少し止めてほしいかなー」
ジト目になりながらミカはカイのことを見たため、カイは急いで明後日の方向を見る。トランもこれは庇護できないと判断したのか苦笑いする。
「今日までずっとあの時の敵意について調べてたんでしょ?どうだったの?」
「えっ!?」
戦闘訓練のときに感じた敵意に関して調べてることを全く言っていなかったためカイは驚くが、それ以上にトランが驚く。
「私から見たら隠そうとしてないように見えたからね。それでどうだったの?」
「…全く見つけられなかったよ。聞くわけにもいかないし、様子見しかできなかったよ。それに敵意だけで特に何かされたわけじゃなかったから」
「そうだよねぇ…」
「2人は訓練中に敵意を感じたんですか?」
この一瞬でトランがいることを忘れて会話していたため2人は少しだけ焦る。
「そうなんだよ。って言ってもかなり前に1回だけ。それだけだから詳しく調べられなかったんだよね」
「お2人のことですから敵意を受けた瞬間に相手を探したんじゃないですか?」
「まだ少ししか話してないのによくわかってるね」
「ありがとうございます。えーと、俺がもし敵意を向けた存在だったら警戒してそれ以上向けないように気を付けますよ。油断した時に一気に畳みかけるために」
「…そうだよね。やっぱり警戒はしていた方が良いか」
「も、もしかしたら向けただけで何かするつもりはないかもしれないですけどね」
トランが言い切ると、別れる場所に着いたためカイ達とトランは別れる。
カイとミカが横並びで歩き、会話しながら帰る。
「結局、長い間何もしてこなかったよね。さっきトラン君が言ったみたいに警戒されたのかな?」
「どうだろ。誰が向けて来たのか分かってないのはもちろんなんだけど、どうしてあのタイミングで敵意を向けて来たかもわかって無いんだよね。もうね、分からないことだらけ」
「お母さんとかにも話したけど、敵意を向けて来ただけじゃ分からないって。自分に向けて来たわけじゃないから尚更とも言ってたよ」
敵意を向けて来た存在を分からないと思っていると、2人はあの日受けた敵意を背中から受ける。
前に大きく跳び振り返りながら戦闘体勢に入る。2人が気づいたころには周りにいた人達はいなくなり、振り返った先には黒色のフードと赤色のフードを被った者が1人ずついた。
赤いフードを着た方は背が高く、口元が見えていた。その口端は縦に切られた跡があった。そして有してる魔力の量はとても膨大でカイの数倍は合った。
そんな魔力量を有してる物がこんなに近くに来るまで接近を許してしまったことに2人は警戒度を限界まで上げる。
そして黒色のフードを被った方はミカと同じくらいの身長で、肌を一切出していなかった。そして赤いフードとは逆に魔力の反応が一切なかった。
「お前達がカイとミカか~。そんな強そうに見えねぇな。人にしては魔力をたくさん有してるみてぇだが…。でもよぉ、カイっていたよな?お前の魔力ほしぃなぁ」
2人の背筋にゾワゾワと悪寒が走るが走り身震いする。
カイだけに向けられた言葉のはずなのに、赤いローブから発せられる男の声にミカも不気味に感じる。
「どの魔力を混ぜたんだぁ?俺達の中にも混ぜるほど魔力操作が上手い奴はいねぇんだけどなー。どうやって混ぜた?」
不気味な言葉に2人はどんどん気分が悪くなるため、ミカが赤いローブに向けて雷を撃つ。するとその雷は男をそれるようにして後ろに飛んで行く。
「あぶねぇな。今頃誰かに当たってるぞ。今の。まぁいいや。今回は宣戦布告しに来たんだ」
「なに?」
「いや、何、いずれお前達は俺達の敵になりそうだからな。目障りになる前につぶそうと思って」
「さっきから俺達って言ってるけど、なんかの組織なの?」
「さぁな?じゃあな。もう会わねぇだろうがな」
赤いローブの男は腕だけだして黒いローブの頭に手を置くと一瞬でいなくなる。2人がいなくなった瞬間に周りに人が現れる。
カイ達の視線の先は何か騒ぎになっており、聞くと突然置いてあった木箱などが壊れたと騒がれていた。
「あれって雷が原因だよね」
「絶対そうだよ。私が飛ばしたやつが壊したんだよ」
2人はすぐさま学園に向けて走り出し、先程あったことをシャリア達に報告しに行った。
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