第132話
アルドレッド達3人はルナが向かったほうに向かって走る。
「そんなことがあったのね…?」
「これ以上グールを出されたらヤバすぎるね。早く捕まえないと」
魔力感知を使いながら走っていたセレスと白ローブが前から走ってくる2つの魔力を感知する。
「大丈夫みたいよ。前からルナが来てるわ」
「そうか…。1つだけだが肩の荷が下ろせたな」
3人とも速度は落とさないままルナに近づく。
「捕まえたよーー!」
ルナが見えて来たと思ったら、ルナの元気な声が聞こえたためアルドレッドとセレスの顔がほころぶ。
だが、ルナがしっかり見えてきたところで、ルナが男を引きずりながら来ていることに仰天する。白ローブは笑っている声が我慢できずに漏れていた。
「3人ともどうしたの?早く戻らないと」
「そ、そうね。その男はアルが連れてくことにしましょう」
アルドレッドとセレスの顔が苦笑い気味で、口角がピクついていることにルナは気づかないまま城に向かって走り出す。3人はルナに置いて行かれないように急いで走り出す。
城に戻った3人は、男を牢屋に収監してから急いで団長室に向かう。
帝都に入る際、白ローブとは別行動をとっているため3人になっている。
「失礼します」
アルドレッドは返事も聞かずに団長室に入る。そこには意気消沈している団長と怒っている副団長がいた。
「誰ですか!?今立て込んでるんです!」
「アルドレッドです」
「アル君ちょっと待ってて。なんでも許可しちゃうバカな団長を叱らないといけないから」
そう言って再度叱り出そうとした副団長が固まった。
「ん、アル君?アル君、ルナ様いる?」
「ここにいるよ。それよりも伝えないといけないことがあるの!」
ルナがアルドレッドの後ろから現れ、団長と副団長に森に会ったことを話そうとするが、話せなかった。
「ルナ様!!森に向かうならもっと護衛をつけてください。アル君もセレちゃんもとっても強いですけど、もしものことがあったらどうするんですか。それに今の森は危険なんです。異常事態が落ち着くまでは行っちゃダメです」
誰もが見失う速度でルナに近づいた副団長はルナの方を真っすぐ目を見る。
だが、今は一刻でも早く森でのことを話さないといけないためセレスが止める。
「姉さん、説教は後にして。森であったこと話さないといけないから」
「セレちゃん、これは大事な事だから今言わないと」
「説教なら何時間でも受けるから先に報告させて」
「…説教4割増しだから」
最後にぼそっと言われた言葉にアルドレッドとルナは恐怖を抱く。
副団長は渋々したがい、団長の後ろに下がる。
「団長、森での調査なのですが」
「もう分かったみたいですね。やっぱり君たちを行かせて正解でした。聞かせてください」
先程まで落ち込んでいたはずの団長は仕事モードに変わり、アルドレッドとセレスからの報告を聞く。
「そうですか…。とにかくこれ以上大きくなる前に集落を壊しましょう。非番も含めて近衛騎士団全員を急いで集めてください。今日の夜に森に向かいます。アルドレッド達が捕まえた男ですが、尋問官に最優先で口を割らせるように通達してください」
「分かりました」
副団長は招集したり、通達するために速足で団長室を出て行く。
「3人はしっかり休んでください。それとゴブリンの掃討作戦ですが、アルドレッドとセレスにも参加してもらいます。今回は危険なので、ルナ様は城にいてください。しっかり代わりの護衛を準備しますので、抜け出しは出来ませんからね」
ルナは参加できないことに不満だったが了承した。
アルドレッドとセレスは扉の前で頭を下げてから部屋を出て行く。ルナも2人に続いて出て行く。
「いますよね。出てきてください」
団長がそう言うといつものように白ローブが現れる。
「今回、捕まえた男のことどう思いますか?」
「うーん、そうですね。正直分からないことがありすぎてなんとも…。とにかく持ってた袋は、城で厳重に保管するか団長に渡した方が良いと思いますよ?」
「そうですね…。陛下とも話し合って決めます。それにしても、あの方のことを団長と言ってしまう癖はまだ直って無いんですね」
手で口元を隠しながら笑う団長に向かって、白ローブは軽く小突く。
「うるさいですよ。小さい頃からずっと団長って呼んでるんですから直りませんよ」
「それもそうですね。私は陛下にこのことを報告してきます。あなたはどうしますか?」
「今回の作戦に私が参加したら、皆さんに生きてるのがバレるので今から用を済ませて王国に戻ります。やることもありますから」
「私は任務が終わったと聞いたんですが…。あなたのことです、何かする事があるんでしょう」
団長がそう言い切ると、白ローブは姿を消す。
団長も集落が出来たため、今夜掃討作戦をすることを陛下達に報告するために部屋を出る。
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