第118話
「その言い方は何だ!?無能がでしゃばるな!!」
怒りのまま騒ぐバーシィを置いて、ビューンは学内対抗戦で使った
「それは何ですか?」
「これを見て分からんとは無能は無能だな!」
「僕ちんたちはお前をここで殺すんだ!」
ビューンがそう言った瞬間、ドッペルトが地面にメイスを突き立てようとする。それを見たバーシィは冷静になり、持っていた杖を構える。
だが、いつまで経っても地震が起きない。それを不思議に思ったバーシィとビューンはドッペルトを見る。すると、手を抑えてうずくまっているドッペルトがいた。そしてなぜかメイスはドッペルトのはるか遠くに転がっていた。
「ドッペルト!何している!」
「使えない奴め!私がやる!」
そう言ってバーシィは杖を前に出す。
「フレイムキャノン!」
多めの魔力を溜めていると思ったら、ショボく遅いフレイムキャノンだったため、カイとミカはため息をつく。
「俺がやっていい?」
「お願い」
カイは持っている剣に魔力を纏わせ、飛んできているフレイムキャノンに向かって剣を縦に振る。するとフレイムキャノンは真っ二つに割れ、その場に落ちる。
「なっ!?無能がぁぁぁあああ!」
逆上したバーシィはそのまま魔法をデタラメに撃ってくるとカイもミカも思ったが、予想外にも魔法を撃つのを止めた。
「カイ、私がアイツをやる。カイは先輩2人をお願い」
「分断が必要なら私がするわよ?」
「お願いします」
カイは3人とも自分の手で懲らしめたいと思っているが、ミカの決意のこもった目を見て残りの2人を徹底的に懲らしめることを決めた。
セレスは今日一度も魔法を使っていなかったため魔力が完璧に残っている。そのためバーシィと残り2人の間に巨大な氷の壁を杖を振って作る。
「なっ!?こんな巨大なのを一瞬で!?」
「こんなの僕ちんなら!」
そう言ってビューンは氷の壁に剣を突き刺す。刺したのを確認したビューンは剣に魔力を流す。すると剣先が爆発する。爆発したのだが、氷の壁は壊れず傷しかついていなかった。ビューンは剣を抜き再度突き刺す。
「なぜだ!?」
叫びながら壁に剣を何度も突き刺していると、腕の痛みが引いたのかドッペルトが近づく。
「何をしてる!さっさと壊せ!」
「やってるだろう!」
怒鳴り合う2人にカイが近づく。
氷の壁で分断されたことでバーシィは壁に向かって魔法を放つ
「フレイムボール!フレイムバレット!フレイムキャノン!なぜ壊れない!」
魔法を何度も撃つが氷の壁は壊れない。
よく見たら少しだけ溶けているのだが、そのたびにセレスが元に戻しているのだ。冷静さを失っているバーシィはそのことに気づかずに壁に魔法を撃ち続ける。
「無駄だよ」
その言葉が聞こえた瞬間にバーシィは魔法を撃つのを止め、声がした方を見る。
「ミーーーカーーーさぁぁああん!」
ミカを見た瞬間にバーシィは杖を捨て走って近づく。
近づいてきたバーシィをミカは容赦なく槍で殴り飛ばす。数m飛んだバーシィは尻餅をつきながらありえない目をしながらミカを見る。
「な、なんで…」
「お前から近づかないで。次に近づいてきたら斬るよ」
そう言ってミカは槍の刃をバーシィに向ける。
「そうか、あいつが命令してるのか。許さん。許さん!」
バーシィは怒鳴りながら先程捨てた杖を拾いに行く。ミカはその様子をただ黙って見ていた。
杖を拾ったバーシィは悲しそうな顔をしながらミカに杖を向ける。
「すみませんミカさん。少し痛いですけど、今は寝ていてください。フレイムボール!」
そう言ってミカに向かって魔法を撃って来た。ミカは避けることも出来たそれを槍で叩き落す。
「なっ!?私にあなたを傷つけさせないでください!」
「お前が何をしても私にはかすり傷すらつかないよ。それよりうるさいよ」
そう言ってミカは次の魔法が撃たれる前に槍の石突の部分が当たるように突きを放つ。その突きはバーシィの腹に入り、バーシィは氷の壁にめり込む。
「まだ動けるでしょ。早く立って。私の仲間を散々侮辱してたんだから、その程度で終わらないよ」
そう言ったミカの顔は怒り一色だった。
バーシィは何を勘違いしたのか、それがカイに操られて苦しんでいると思ったため、ミカを助けるためにと立ち上がる。
「わ、私があなたを、た、助けて見せます」
そう言ってミカに向かって走り出し、殴りかかろうとする。ミカはそれを避けて柄を使って殴り飛ばす。バーシィは今度は壁にめり込む。それでも立ち上がる。
「あの時の恐怖を乗り越えるために戦おうと思ったけど、お前からは何も得られない。怖がってたのがバカみたい」
ミカが認識するために独り言を言っていたが、それが洗脳だと思ったバーシィは魔法をミカに向かって撃つ。
「く、苦しいですが、今は我慢してください!フレイムキャノン!」
そう言って魔法を撃ってくるが、ミカは避けて今度はバーシィの腹を切る。
「もう黙っててよ」
ミカは槍に着いた汚い血を振って落とす。
「あ、あぁ。ミカさんに切られた。切ってもらった!!」
そう言うとバーシィは歓喜の声をあげる。
「あぁ、もっと切ってくださいミカさん!」
そう言って近づいてきたバーシィをミカは遠くまで殴り飛ばす。今度は地面を転がって動かなくなる。
戦い終わったと思ったミカは息を吐く。後ろにいる3人の所に戻ろうとしたところで声が聞こえる。
「も、もっと私を、き、切ってください。ミカさん!」
その呟きが聞こえたほうを見ると、バーシィがフラフラになりながらも立っていた。
フラフラなままミカに向かって歩き出す。それを見たミカは再度槍を構える。
「あぁ、もっと、もっと、もっと!切ってください!」
「うるさいから黙ってて」
そう言ってバーシィを殴り飛ばしたのは、カイだった。
ビューンとドッペルトに近づいたカイは声をかける。
「先輩たちじゃ、何時間かけても壊せないですよ」
「黙れ無能が!俺たちに不正をして勝ったクソ野郎が!」
「黙ってるんだな!僕ちんの邪魔をするな」
そう言ってドッペルトも加わり壁を壊し始める。何度も何度も剣を突き付けたり魔法を撃ちこむが、壁が壊れる様子は無い。
「なぜだ!?」
「僕ちんが壊してやってるだろ!壊れろよ!」
「1つ聞いても良いですか?」
2人は声が聞こえた瞬間に手を止め、殺意を込めた目でカイのことを睨む。
「黙れと言っただろ、無能が!」
「何であの時医務室を襲撃したんですか」
カイが話した瞬間、2人は驚いた顔でカイのことを見る。
「なぜおまえが知ってる!?」
「僕ちん達しか知らないことを!」
「こっちは聞いてるんです」
カイは近づきビューンの顔面を殴る。殴られたビューンは3mほど跳んで行く。
「お、お前何をしてる!」
「俺が質問したことを早く答えてください」
カイは今度はドッペルトのことを殴り飛ばす。力をうまく調節して同じ所に飛んで行くようにする。
「お、おひゃえにゃんかに、こひゃえるか!」
「無能は黙ってろ!」
「早く話してください」
そう言って急接近してまた殴り飛ばす。先程の殴ったせいでビューンの歯が折れたようだが、カイはお構いなしに殴る。
カイが殴り飛ばす度に2人は罵倒をするが、カイは無視して殴り飛ばす。3回程飛ばしたところで2人は罵倒しなくなり、動かなくなった。
「そろそろ話してくれますか」
カイがそう問うと、2人は地面に倒れながら激しく頷いた。
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