第108話
団体戦が終わった翌日、今回対抗戦に参加した者達と、一部の貴族、帝国の一団を交えて王家主催の立食パーティーが行われることとなった。生徒達には事前に連絡されていなかったが、貴族などには連絡が行っていたようだ。
もちろんカイとミカも来ており、今はメッサーと一緒にいた。こういうパーティーは交流が目的で行われるはずなのだが、3人は始まってから3人だけでおり、ずっと食事していた。貴族達と他の対抗戦に参加した生徒は勝ったミカに話しかけたいようだったが、カイと仲良く話すミカを見て近くに寄れずにいた。
3人が楽しく話している中、近づいてくる者が1人だけいた。
「私も混じっていい?」
話しかけて来たのはルナだった。ルナに対してミカが笑顔で良いと返答した。
「たしかメッサー=ゼーラさんでしたか?私はルナでございます」
「よろしくな。あと敬語じゃなくて良いぞ。楽な感じで話しかけてくれ」
「分かった」
4人で楽しく食事をしながら話している光景を、貴族と王家は不気味な物を見るかのような目で、帝国の生徒は少しばかり羨ましそうな目で、皇帝は嬉しそうな目で見ていた。ただ、帝国の騎士達と王子だけはその光景を鋭い眼差しで見ていた。
周りがそんな目で見てくることに4人は居心地を悪く感じていた。そのため明日再度集まって遊ぼうとミカが提案した。カイとルナは予定が空いており、ルナに関しては王都を観光したいと思っていたため了承した。メッサーは午後には道場で指導をしなければならないため、午前だけ一緒に行動することになった。
翌日になり、カイとミカとメッサーは闘技場の前に集まっていた。4人で集まるとなった時に全員が知ってるのが闘技場だとなったため、ここに集まることになったのだ。
集合時間5分前ほどになってルナが遠くから走って来た。
「待たせちゃってごめんね!」
「まだ集合時間じゃないから大丈夫だよ」
「そうだぜ?とりあえず、集まったなら行こうぜ」
そう言ってミカとルナとメッサーが歩き出す中、カイだけは周りを見回した後であるきだした。カイが周りを見回したのはルナが帝国側の人間というのが関わってくる。王国で考えたらルナはとても強いほうだが、もしも不意打ちなどされたら危険と言うのは変わらない。そのため、護衛として騎士がつくと思っていたのだが、その騎士らしき者は周りに居らず、魔力感知を使って調べたがいなかったのだ。カイはそのことに不思議に思いながら3人の後をついて行った。
以前カイとミカで買い物をしたときと同じ様に武器屋に行ったり、アンティークショップや服屋などを見た。ルナは武器屋では以前のカイとミカと同じ様に武器のできに驚いたり、アンティークショップと服屋では帝国とは全く違う物が売っていたようで、普段見ないデザインの物を見たためか非常に喜んだ。
午前も残り少なくなり、王都でそこそこ有名な店でカイ達は食事をとっていた。
「3人は午後は何すんだ?」
メッサーがそう聞くと、ミカとルナはどうしようかと考えた素振りを見せる。
「ルナもいることだから名所を見るのはどう?俺はそこまで王都に詳しくないからミカに案内を任せることになるけど」
「良いね!案内するよ!」
「そうだな。王都を一望できる場所なんかもあるから行くと良いな」
その後は、ミカがどのような場所をまわりたいかカイとルナに聞き、プランを考え、メッサーがそれにアドバイスしていると、カイが店の屋根のところに白ローブを感知した時に感じた魔力を感知する。カイは3人に手洗いに行くと言って離れてその場所に向かう。
「やっぱり魔力感知使ってた?」
屋根に上がった所にはやはり白ローブが居り、カイの方を見ないで声をかけた。
「今日は友人もいるんです。不意打ちでなんでことがあったら怖いですから」
「そうだね」
そう言って白ローブはカイの方を見た。顔は相変わらず仮面をつけていて分からないないが、カイは真っすぐ目を見られていると感じた。
「カイ君、私用が出来ちゃったからここを少しの間離れないといけないんだ。だからお願い。ルナ様の護衛を頼んでいい?」
白ローブから言われた言葉にカイは疑問を感じたが、白ローブとは協力関係にあり、助けられたこともあったため二つ返事で引き受けた。
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