第101話


 その後話した結果ルナも同行することになり、お互いの実力を知るために5階層のボスは3人で倒すことになった。最初、カイは剣で戦おうと出したが、ルナと話したところアルドレッドとセレスと知り合いと言うことが分かったため剣を仕舞い魔法で戦うことにした。お互いが使える属性の魔法を聞き作戦を考える。


 作戦会議後、3人は大扉を開け中に入る。入るとバサッバサッと音がしたため上を見る。するとそこには以前と同じ様にパラリシスバタフライがいた。


「作戦通りいくよ」


 ミカがそう言うと、ミカは雷をパラリシスバタフライ一直線に、ルナはパラリシスバタフライから少し逸らして黒い物体を飛ばす。ルナの適性魔法は闇と水だ。つまりルナは闇を飛ばしたのだ。

 魔法の文化が減衰した王都では光と闇の本当の効果が知られていない。200年前までは知られていたというのに。

 同時に撃たれた魔法は雷の方が速く飛んでいき、パラリシスバタフライは雷に当たって体勢を崩す。フラフラしたパラリシスバタフライはその後に飛んで来た闇に当たり地面に落ちる。

 王国と帝国で光と闇の認識は違う。王国では光も闇も他の魔法と同じ物と考えられているが、帝国では光と闇は支援するための魔法と考えられている。闇は相手を状態異常にさせることが出来るのだ。

 つまりパラリシスバタフライはルナによって麻痺にされ動けなくなったため落ちた。麻痺と言う点では雷と同じになってしまうが、雷によって起きた麻痺よりも威力が高く完璧に動くことが出来なくなるという強い面がある一方で、持続時間が短いという弱点もある。

 持続時間が短いことを聞いていたカイはすぐさまパラリシスバタフライを燃やす。


 燃やして完璧に動かなくなったところでカイ達は息をつく。




 お互いの国の魔法の認識の違いを話して休憩したあとカイ達は6階層まで下りる。

 カイは無手でミカは槍を片手に、そして先程まで何も持っていなかったルナはカイから貸してもらった剣を持って下りる。ルナは同級生に一言「ダンジョンに行く」と言って飛び出してきたそうで、その時ダンジョンに入る許可証しか持ってこれなかったのだ。そのためカイが袋から剣を出してるのを見て、使わないなら貸してほしいと頼んだのだ。

 6階層に下りて少し進むと大きなカマキリいた。名前は『マンティス』で、普通に大きくなったカマキリと違い、異常に発達し長くなった鎌で地面を傷つけながら歩いていた。マンティスの特徴はその鎌にある。その鎌は一振りで人間を真っ二つにすることが出来るほどだ。マンティスは後ろを向いてこちらに気づいていない。


「どうする?ルナに麻痺かけてもらって一瞬で片付ける?」

「マンティスだから俺が燃やして良い?情報通りなら」

「私、王国のモンスターは詳しくないから教えてほしい…」

「見てて」


 カイがとても小さい炎を飛ばす。ルナはそれで燃えるのかと疑問に思ったが、当たるとマンティスはすぐさま火だるまになり倒れる。死骸に近づいたころにはマンティスの鎌の部分を除いた所が灰になっていた。


「マンティスの体はとっても燃えやすくなってるらしくて、火の粉が触れただけもで燃えるんだって。ただ鎌の部分は燃えないようになってるらしいよ」


 そう言ってカイはルナとミカに拾った鎌を見せる。その鎌は全く刃こぼれをしておらず、見ただけで鋭い切れ味を持ってることが分かる物だった。


 その後も3人で進んでいくと、数体マンティスにあった後でまた違うモンスターに会うことが出来た。

 それは地面をはいずっており、こぶし大サイズの虫がもぞもぞとゆっくり動いていた。


「ちょっと気持ち悪いね…。今度は私とルナでやっていい?」

「分かった」

「あのモンスターの特徴は?」

「あれは『ジャンピングクリケット』って言うモンスターで、動きはそこまで速くないけど、跳んで嚙みちぎってくるって」

「じゃあ、私が水浸しにするからミカが雷流すのでどう?近づくのは危ないし」

「分かった」


 ルナはさっそく水の球を作り、ジャンピングクリケットの上に飛ばす。上に着いた所でそれは破裂し、当たり一面が水浸しになる。ジャンピングクリケットは上から来た水に打ちつけられ跳べない状態になっていた。ミカが濡れた地面に雷を飛ばすと、水を伝って、ジャンピングクリケットに一瞬動くとそれきり動かなかった。


 その後、7階層に行く階段を3人で談笑したり、マンティスとジャンピングクリケットを倒しながら探したがなかなか見つからず、見つけた時にはもう戻った方が良い時間になっていたため、3人少しがっかりしながらも新しく友人が出来たことに嬉しく思いながら帰還した。

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