47話
教師はカイに逃げろと言われ2階層に向けて生徒を連れて逃げていた。
教師としては生徒を残して戻りたくなかったが、あのままいても邪魔になり全滅するだけだったためカイを残して戻ることにした。
(こ、これでよかったんでしょうか...?)
唯一オークファイターを傷つけることが出来たと言っても、1人、しかも生徒を残して先に逃げたことを教師はそれが正しかったかどうか考えていた。
悩みながら教師は生徒達を先導しながら確実に2階層に向けて戻っていた。生徒達も何とか教師について行く。
来るときと同じ道を通ったおかげかたまたまか分からないがモンスターに遭遇しなかった。あと一部屋で2階層につながる階段がある部屋に着いた。
「み、皆さん!あと少しですよ!!」
教師は何とか生徒達を鼓舞しながら階段のある部屋に向かう。生徒達も希望が見えてきたためか顔が明るくなり、階段に向かう足が速くなる。
そんな中、教師がうつ伏せに倒れた。効果音をつけるなら『ズザァー』と音が鳴りそうなほどきれいに。教師は押された感覚がしたことに驚いた。
他の生徒達は驚いた。教師の後ろには顔を下に向けたガルが立っていた。ただ立っていた。
教師は驚いて一瞬忘れてしまったが、背負っているはずのガルがいないことに焦り後ろを向く。
「バ、バイト君!!起きたのですね!よかった!体調は大丈夫ですか...?こ、このまま2階層に戻ります。ついてきてください」
教師がそう言いながら立ちガルのことを見るが、ガルは顔を下げたままだ。
「お、おい、バイト聞こえてんのか?」
生徒の1人がそう言いながらガルの肩に手をかける。
「...ウォーターバレット」
小さく確かに呟いた。誰も反応できなかった。
ガルの肩に手をかけた生徒は後ろに数歩下がった。
「グハッ!?...バ...バイトお前...な、なにしやがる...!!」
その生徒が腹を抑えてることで、先程ガルが撃った『ウォーターバレット』がその生徒に被弾したのだと全員が気づく。
「...どういうつもりだ!!」
「......」
「ッ!!」
撃たれた生徒は苦しそうに怒気を込めて叫ぶがガルは答えない。それに痛みを忘れるくらいの怒りを覚えた生徒はガルの胸倉に掴みかかる。
「どういうつもりか聞いてるんだよ!!」
「お、落ち着いてください!」
「ウォーターボール...」
教師が仲裁に入ろうとした瞬間、掴みかかった生徒が後ろに跳んでいき壁にぶつかる。全員何が起きたのか理解が出来ずその場にたたずんでしまう。
「...お、お前、な、何が、したい、んだよ」
壁にぶつかった生徒が苦しそうに立ちあがりながらガルに問いかける。
「...」
だがバイトは答えない。吹き飛ばされた生徒が壁に背をつけるとガルに向けて手を向ける。
「...それなら、これでもくらってろ!!ウインドボール!」
ガルに向かって魔法を撃つ。突然のことに教師も反応できずそのままガルに向かって行くが、ガルは横に避ける。
「ウォーターボール...」
ガル反撃とでも言うように魔法を撃つ。
先程くらった魔法により満身創痍になり動けない生徒はそのまま当たるしかなかった。誰かが守らなければ。
「アイスシールド!」
教師が間一髪のところで魔法を発動し生徒を守る。
「バイト君!!な、なにをしてるのですか!!い、今はこんなことをしてる場合ではな、無いのです!!!」
教師はガルが仲間の生徒を攻撃したことに問いかける。
するとガルは他の生徒に向かって手を向ける。
「ウォーターボール...」
手を向けた方向に勢いよく魔法が撃たれる。
その先にいた生徒はガードすることも出来ず魔法が当たる。
「ッウ!?」
魔法が当たった生徒はそのまま後ろに倒れる。魔法が当たった衝撃と倒れた衝撃により気絶してしまう。
「や、やめなさい!!」
教師が声を上げるがガルは止まらない。
「うわぁぁあ!!」
「や、止めてくれ!!」
「キャァアアアアア」
「や、やだ...」
他の生徒は悲鳴を上げながら逃げ出すが、ガルは魔法を当てていく。
「アイスサークル!!!」
数人が倒れたが、ようやく魔力を溜め終わった教師はガルを覆うようにして氷の柱を作る。
「た、倒れていない生徒は倒れてる生徒をわ、私の後ろに移動させてください!い、急いで!」
生徒達は教師に言われた通りに行動を開始する。魔法が当たらず無事な生徒は急いで倒れてる生徒の所まで行き教師の後ろに移動させる。その間氷柱からは氷が壊れ音を出していた。
倒れている全員を後ろに移動し終わると
「ウォーターボール...ウォーターバレット..」
そう聞こえた瞬間、氷柱が壊れる。
「ウォーターボール.」
教師たちが見えた瞬間にガルが魔法を放つ。
「ウインドシールド!」
最初にガルに魔法を受けた生徒が座り込みながらも魔法を発動し守る。その魔法はガルの攻撃を一発しか防げなかったが、十分だった。
「ウォーターキャノン」
「アイスウォール!!!!」
再程の『アイスサークル』よりも魔力を込めた『アイスウォール』を教師が作り出した。その壁によってガルの放つ魔法は全て防がれる。
しかし、ガルは壁を削るように壊していく。そのため、教師は『アイスウォール』に魔力を流し続けることで何とかこらえていたが、このまま続けていても魔力が底を尽きるだけだった。
(こ、このままでは魔力が無くなる...。で、ですが、バイト君を止める方法は無い...)
教師は打開策を考えるが一向に出てこなかった。
(も、もう魔力が...)
教師はその後も壁を維持し続けた。そのため魔力が底を尽きようとしていた。
(ま、まだです...!生徒達を守らなければ...!!)
立つことも苦しいはずなのに教師は生徒を守る一心で壁を維持していた。
そこにようやくカイが到着した。
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ここまで読んでくださりありがとうございます。
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