無能判定されたけど間違いだった!?~実は最強の氷炎使い~

紫雲ルイ

グラス王国編

1章 適性検査と魔女との出会い

第1話


(そろそろ順番かな?)

 そんなことを思いながらカイ=クノスは前にいる同世代の様子を見ながら待っていた。




 歳が13になる年、子供たちは教会で魔法の適性検査を受けることになっている。この適正検査を受けることによって人々は魔法を使え、自分の体の中の魔力を感じることができるようになる。逆を言えば、この検査で適正が無い魔法は一生使うことができないということだ。

 この検査だが、稀に王国中を探しても50年に1度あるかないかという確率で適性魔法が無い人がいた。


 カイは何となく炎の魔法に適性があると思っていた。それはただの勘でしかなかったが彼はこの勘だけは外れないと確信していた。


「次の少年。前へ」


 司祭に呼ばれたカイは言われた通りに進み、魔法陣が書いてある紙の前に立った。


「紙の上に両手を置いてください」


 カイは言われた通りに両手を置く。その瞬間に魔法陣が光始める。この魔方陣が光終わった後に紙に残っていた円の色で自分の適性魔法がわかるのだ。

 炎に適性があったら赤色に、水だったら藍色、風だったら緑色、と言うように色で分かるようになっている。珍しい物では無属性があり、それは円だけが出てくる。また魔法陣の上に複数の色の円が残っている場合がある。その時は残った円の分だけ適性があることとなる。しかし、複数の円が残っていることはとても珍しいため人口が多い王都の司祭でも滅多に見ることはできない現象だった。



 カイが手を置いてから10秒近く経ったが光はまだ収まらない。普通だったら5~7秒程度で消える光がまだ光っている。周りのものは気にしていないが、司祭だけは少しおかしく感じていた。

 手を置いてから15秒ほど時間が経った時、ようやく光が収まった。

 魔法陣の光が収まった紙を見て、司祭とカイは固まった。ありえないと、そこにあるはずがないと思っていた状況が写っていたからだった。












 円が無い。












 色のついた物どころか円すら存在しない。紙に残ったのは使用前と変わらずある魔法陣のみ。

 その結果、司祭は1分ほど固まってしまった。この司祭は今まで魔法適正が無いものを見たことがなかったからである。司祭の異変に気づいた者たちは首を傾げるばかりだった。



 周りの者は静かに、物音1つも立てることなく司祭が目の前にいる少年に適性魔法を言うことを待った。

 そして司祭は驚きながらもカイに結果を言い放った。



「き、君の適性魔法は……無い。君は適性魔法を持っていない」



 この世界では魔法がないと生きていくことは難しい。そもそもカイは魔法適正を持たないものがいるなど聞いたことがなかった。


(なんだよ…こんなのあんのかよ…)


 言われた言葉は分かる。しっかりと理解した。だがそれは到底受け入れられない物だった。結果を聞いた後、周りの音が聞こえなくなった。呼吸をするのも苦しかった。視界も狭く感じた。

 そんな絶望的な状況の中でも、助祭は彼が次の人の邪魔にならないようにと横に退かし、教会の入り口にいる彼の父親の元に連れて行った。

 カイはこの後に父親から言われた言葉を一生忘れないだろう。



「さっさとついてこい。無能が」




 ここはモンスターがあふれる世界。

 人間が治める王国・帝国・公国・聖国の四つと、魔人族が治める魔国がある。人間と魔人族の戦争は300年ほど前から停戦状態となっていた。

 そして戦う手段として強力である魔法が重要視されている。


 そのため魔法の適性がないものは「無能」と呼ばれた。




 補足説明

 この世界にある魔法の種類→適性検査のときに出る色


 ・炎→赤色 水→藍色 風→緑色 緑→深緑色 雷→黄色 地→茶色 氷→青色 光→白色 闇→黒色 無→円だけ


 となっています。生活が難しいと出てきましたが後々説明が入ります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る