第4話 極東

さて、ここまで日清戦争後の中華、朝鮮地域について語ってきたが一旦日本帝国やロシア帝国を含めた極東に目を向けてみようと思う。


史実と異なり日清戦争後大韓帝国には日本の影響力がある為ロシア帝国は満州地域、までしか南下政策を採っていないがいずれシベリア鉄道によって極東軍が北東アジアに展開されることを考えれば日本帝国は次なる手を考えなければいけなかった。


亜細亜最強の国家と見られていた清朝を圧倒し降伏させた日本帝国東洋の列強とはいえ欧州最強の陸軍国家であるロシア帝国を相手にするのは難しいと思われていた。

ここで日本政府首脳部が打った次なる一手は19世紀の覇者、大英帝国との同盟であった。


もともと大英帝国は極東の新興帝国の実力を利用しようと考えており、順調に国内の軽、重工業が発達(列強から見ればまだまだだが)しており、国内の投資家の有用な投資先とも見られていたため極東の番犬として同盟に前向きであった。

だが当時は栄光の孤立を貫いており世界各国は日英同盟などあり得ないことであった。


そこへ日本政府からの正式な同盟要請に対し英国政府はこれに応える意向があることを伝えた。


そして第一次日英同盟が締結されたのである。



これによって極東のバランスは圧倒的に日本有利に傾いたが満州地域はロシア帝国の手によって一ロシアの地域へ変わってしまっていた。

また第一次日英同盟は第三国の参戦があった場合のみ参戦義務がある為、もし日露開戦となったとしても大英帝国は参戦しない可能性すらあった。

このため日本政府は同盟改定を進めるとともに陸軍第一特務機関中野学校に対してロシア帝国内での内戦工作を進めるように命じた。


既にロシア帝国内では内戦の火種がくすぶっており、武器支援や反乱軍に日本帝国軍が加勢する事があればあっけなくロシア帝国は崩壊する事に間違いはなかった。

また中華五十年戦争に見られるように陸軍第一特務機関はこの手の工作を得意としていた。



この世界線はでは樺太島及び千島列島は日本帝国領であるが樺太島と沿海州のポギビとラザレフでは両岸で銃撃戦が毎日のように行われていた。

ここで戦闘を行う日本軍は日清戦争後に再編されて誕生した樺太師団と第一機動師団緊急展開軍であり新師団にとって貴重な実戦機会となりまた粘り強く戦う両師団は後の北方出兵でも活躍することになる。

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