大洋同盟対中央同盟

海野快斗

第一章 日露不戦

第一章 プロローグ

第1話 先の戦争によって中華地域は混乱を極めている。

「また分裂したらしいぞ」

「またか、派遣するのか?」

「いや、上層部でもかなり議論されているようだが、恐らく中華民国国民政府と武漢政府、後は有力軍閥のみに限定していく方向になるそうだ」

「そうか」

「では」

「ああ」


ここは日本帝国東京特別区に存在する中央情報院である。日清戦争での大勝利によって世界で列強として認められた日本帝国だが、帝国建国以来の悲願である彼らはまだ一等国になったとは思っておらず対外戦略の一翼を担う中央情報院も多忙を極めていた。その大半は日本帝国が先の戦争――日清戦争で世界のどの国も予想しえなかった

大勝利を挙げたのが原因なのだが。




日本帝国は外圧によってアジア初の近代憲法を持つ立憲君主制国家として出発した。

それまでの特権階級であった士族階級の内乱も正式に発足した帝国陸軍九州方面軍によって制圧され国内は安定、統一された高水準の教育が全国に普及した事によって

比較的早期に世界どこを見ても実施されていなかった年齢を満たした全国民への投票権、女性参政権が実施され政党政治も行われ立憲君主制国家としてはイギリスと同等民主政治体制が整えられた。

そして日本帝国が一躍列強として認められるきっかけともなった軍は陸軍は九方面軍が存在し一方面軍二師団で形成される。

海軍は横須賀、呉、舞鶴、佐世保の四鎮守府が置かれ、各鎮守府に一艦隊が在籍していた。


日清戦争では南下するロシア帝国を牽制するため北海方面軍を除いた軍が臨時編成された。

第一軍団が九州、中国、四国、近畿、そして上陸戦に優れた琉球師団。

第二軍団が強兵たる東北、そして関東、山岳師団たる中部によって編成され第三軍として機動投入要員であり帝都防衛部隊でもある近衛連隊が師団へ格上げされた。


第二軍団は朝鮮半島に派遣され清朝軍と交戦、日本帝国軍は陸海が速度、機動戦を研究していたため関東の騎兵師団によって機動戦が展開されほとんどが殲滅された。

開戦から約六か月で新義州まで迫った。

その頃海では北洋水師を海軍が撃破、北京近辺に第一軍団が上陸した。


帝国は多額の賠償金、台湾、朝鮮王国内の利権の確保、海南島と遼東半島と澎湖諸島を獲得した。


そして大敗北を喫した清朝は崩壊、泥沼の中華50年戦争が始まった。


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