序章 舞い降りる天使

 あまりの苦しさに、目の前のバラがかすみ始める。

 このまま死ぬのだろうか。短い人生だったけれど、これも運命かもしれない。そう思ったしゆんかんだった。

 風がき、バラの花びらがい上がる。それを背景に、うるわしい青年が目の前に降り立った。あんなに美しいのだ。自分をむかえに来た天使にちがいない。

 天使のひとみはするどく、こちらを見ていた。天に導くために来てくれたのであれば、もう少しあいあふれるまなしでもいいのに。だれからも必要とされていない自分だから、天使も来るのがめんどうくさかったのかもしれない。

 それでもうれしかった。自分のためにわざわざ来てくれたのだから。

 ていかんを胸にいだき、ロゼッタは目を閉じた。

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