第3話
山川とお茶をした数日後、つまりミキの家におまねきさんが現れるようになってちょうど一週間後、わたしと山川ふたり宛にミキからLINEが来た。
「ふたりが考えてくれた方法で合ってたよ
ありがとう」
返信をしようとしたが、画面には「ミキさんが退出しました」という文字だけが残されていた。
ひどく不穏な感じがした。
それでわたしは急遽実家に戻り(わたしのひとり暮らしの家も実家も同じ区内なので然程遠くはない)、学生時代のノートやメモが乱雑に詰め込まれた段ボール箱をひっくり返した。コンビニで買ったと思しき小さなメモ帳に、その記述は残されていた。
【・おまねきさんのオチ
おまねきさんは一週間連続でやって来るが、決して招き入れてはいけない。
一週間経つとおまねきさんは、
「いらっしゃらないのですか? ここに住んでいた方は今はどちらに?」
と尋ねてくるので、そこでようやくこう返す。
「前に住んでた方は引っ越しましたよ」
と言う。その時に、口頭で新しい住所を提示する。架空の住所ではなく、実在する誰かの住所を伝えなくてはいけない。嘘を吐くとおまねきさんはドアをこじ開けて部屋の中に入って来て、その場にいる人間を次のおまねきさんにしてしまう。実在の住所を伝えた場合、おまねきさんはその家を訪ねて行くので無事。だが、一度始まった呪いは決して終わらず伝播して行くのだ!】
数日後、山川もLINEから消えた。山川は結婚していて、旦那と幼稚園に通う娘と3人暮らしだったはずだ。
そして昨日、私の部屋のチャイムが鳴った。
「おまねきいただきありがとうございます。おみやげをお持ちしましたよ」
小さな女の子の声だった。
おまねきさん 大塚 @bnnnnnz
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