乙女ゲームのヒロインは婚約破棄を阻止したい
乙女ゲームのヒロインは婚約破棄を阻止したい/ビーズログ文庫
序章 乙女ゲームの世界に転生しました
きらきらと光を放つシャンデリア。細かな
最初はあまりの
周りよりもいくぶん地味なドレスを着て、ミリア・スタインは、パーティ開始を前に、すでに
同じ学年の生徒は近くにいるが、話しかけることも話しかけられることもない。残りの半年もきっとこのままだろう。
独りの方が気楽だからいいけど。
早く実家に帰りたいとミリアが思っていると、一組の男女が中央に移動したのが見えた。
金色の髪をしている男性の方は、ローレンツ王国の第二王子にして王太子のエドワード・ローレンツ。
明るい緑色の目を
その手を取るのは婚約者のローズ・ハロルド。
財務大臣であるハロルド
曲調が変わり、パーティ開始の合図となる二人のダンスが始まる。
両者は
「本当にお似合いね」
ミリアは二人に目を
一曲目が終わると、二人はそのまま二曲目も続けて
そこに、婚約者のいる生徒たちやその場でダンスを申し込まれたペアが加わる。
ミリアは
ターンの
ミリアは驚いて目をそらす。
曲が終わると、踊り終わったペアたちは
しかしエドワードは、その挨拶もそこそこに、ミリアの方へと体を向けた。
王太子に向かって優雅に礼をするローズと、体ごと
そのちぐはぐさに、
──私、この場面、知ってる。
そう思った
視界にはエドワードが歩いてくるのが映っているのに、
「ミリア
「いえ……なんでもありません」
心配そうに
そこへ、
「顔色が悪いですよ」
アルフォンスは無表情で冷たく言った。
「救護室へ行くか?」
一方、
「いえ、アルフォンス様、ジョセフ様、本当に
しどろもどろになっていることを自覚しながらも、ミリアは記憶の
「今日こそミリア嬢にダンスの誘いを受けてもらうつもりだったのだが。その様子では誘うわけにもいかないか」
エドワードが首を
「申し訳ありません、エドワード様」
言いながら、ミリアは周りに視線を走らせる。
学園の頂点に君臨し、ひいては次期国王となるお方とその側近二人に囲まれ、ミリアは注目を浴びていた。それも冷たい視線だ。ビシバシと体中に
どうしてこの中で平気でいられたのだろう。
今までの自分の
このままではいけない。この三人、特にエドワードとはこれ以上関わってはいけない。
なぜなら、ここは乙女ゲームの世界で、ミリアはそのヒロインだから。
しかも、王太子の攻略ルート
王太子ルートでは、半年後の卒業パーティで悪役令嬢であるローズが婚約
王太子の婚約者? 王太子
そんな
このままゲーム通りに事が進んでしまえば、待っているのは
ミリアは
「本当に大丈夫か?」
「……エドワード様、やはり少し気分が
具合が悪いとは思えない
絶対にエドワードとローズの婚約破棄を
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