第09話 世の中、都合の良いことだけじゃないよね
この世界に来てから十日が経った。
あれから、僕は例の能力の習得に日々、勤しんでいた。その甲斐あってか、もうここらのモンスターとはほとんど戦闘済だ。戦績はオール僕の勝ち。
ここ数日の検証のおかげか、あの能力についても結構詳しくなってきた。
まず結論から言うと、あの能力はやはり僕のオナニーが発動条件らしい。
より正確に言うなら僕がオナニーをして絶頂に達したときだけど。
(それにしても、やっぱりこの力は異常だね。人になんてとてもじゃないけど向けられない)
【
一つは以前の巨大蜘蛛との戦闘でも味わった異常なまでの身体能力の向上だ。試しに能力発動中に大きめの石を殴ってみたら、発泡スチロールかよと言いたくなるくらい簡単に壊すことができた。
正直、想像以上の力だ。安全のために、まだ全力で殴ったことは一度もないけど。
二つ目の能力は思考速度の上昇。
これもまた、一つ目と同様にとんでもなかった。
まるで頭の中で脳が増えたみたいに考える速度が尋常じゃない。複数の物事を並列して考えることができるといった壊れ性能っぷり。さらにその副次効果なのか思考加速中は五感まで鋭敏になるというとんでもないものだった。
なので、能力が発動中であれば僕は漫画みたいに「この足音は……三人か」的なこともできるわけである。
ここまで聞くと、なんだか【
いや、たしかに能力発動中は無敵だよ? ほとんど。
だけど、問題なのはその効果時間の短さだ。数えてみると、平均で百九十秒前後。つまりは三分程度しか持たないのである。……ウル〇ラマンかよ。
さらに、能力使用後は副作用としてとんでもない疲労感に襲われることが分かった。
巨大蜘蛛戦で僕が突然の強烈な疲労感を覚えたのもこのためだ。最近はそのデメリットをどうにかして克服するために絶賛特訓中だったりする。
少し長くなったけど、この能力の概要をまとめるとオナニーを能力化したような感じだと思っている。
だって能力発動中(勃起中)は最強で、終わった後には多大な疲労感(賢者タイム)って、誰がどう聞いてもオナニー以外の何物でもないでしょ。
だけどまぁ、僕らしいと言えば僕らしいかもしれない。
とにかく今、この世界で僕が頼れるのは己のオナニーのみだ。
つまりは日本にいた頃とあまり変わらないわけである。
なので今日も今日とて僕は、あの頃と同じように自己修行に励むのだった。
……決して、誰にも邪魔されずにオナニーできるのが楽しいとか思っていない。
いないったらいないのだ。
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