隣の席は男殺しの女神様
ユウイチ
1章
第1話
「おはよ、川井くん」
「おはよ、神崎さん」
一週間が始まった。長い長い五日だ。季節は秋。夏休みが終わって、余韻にまだ浸っている人もいる中、俺は気を引き締める。
「まだまだ夏だね」
「そうだな」
夏なのは同意する。かと言って胸元をパタパタするのはやめて欲しい。目のやり場に困るじゃないか。
「光莉〜 おはよ!」
「おはよ、白愛」
おっと、如月さんが来たようだ。朝の駆け引きはここまでらしい。神崎さんに抱きついている。いつも通りの光景だ。
あぁ、美少女同士の百合はいいなぁ……別にただただ友達同士なだけで特別な感情はないのだろうけどね。
「数学の予習、写させて〜! やってないの!」
「うん。いいよ」
「わぁ……マジ女神」
「や、やめてよ。恥ずかしいじゃん」
ボケェっと外を眺めていたらそんな会話が聞こえた。
「女神……ね」
確かに神崎 光莉は女神と呼ばれることがある。可愛い容姿に加えて真っ白純粋な性格。これらが組み合わさって男女問わず魅了してしまったのだ。俺はどうなのかって? されてる訳ないじゃないか……堕とされそうではあるが。
「「「あっしたーーー!!」」」
野球部どもの朝練が終わったらしい。窓際角の席の特権やな。ボーッとしてても怒られない。神崎さんが隣の席じゃなかったら最高だったんだがな……
「……ん! ありがと。いつ見ても綺麗なノートだね」
「そんなことないよ」
「またお世話になります」
「自分でやる努力しよ? 分からなかったら教えてあげるから、ね?」
凄……神々しいオーラが溢れ出ているのを隣から感じる。女神の名は伊達じゃない。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛……浄化される……」
如月さん、なんか汚ぇもんな。主に心とか口とかが。
「ふふふっ 白愛はいつも面白いね」
隣には女神。この学校、席替えという慣習がないらしく、一学期の間ずっと女神オーラを受け続けた。いいじゃないかって? 男子どもの貫通属性の視線が痛てぇんだよ。
キーンコーンカーンコーン
始業の合図だ。朝練組が駆け込んでくる。先生がその後を急かしながら教室に入ってくる。いつもの光景。
「おーし、今週も頑張っていきましょ〜」
先生の一言でSHRが締めくくられる。あと、一月もすれば体育祭があることくらいしか情報はなかった。
「暑い……」
まだまだ夏は終わってない。隣の清楚オブ清楚な女神を見ると汗ひとつ流してない。絶対補正かかっとるやろ……
「……?」
どうかした? みたいに首をこてんってするなよ。見惚れてまうやろ。
これは無意識に俺を堕としにくる女神と絶対堕とされない俺の戦い(勝てる確率ゼロパーセント)の物語
〜あとがき〜
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