第42話 [探知の指輪]

 ヒートボアを5体倒して、俺たちは次の階層へ進んだ。

 次の階層は討伐推奨レベルが370や380の魔物が多かった。

 もう少し下の階層にいかなければ経験値のボーナスは貰えなさそうだな。

 2階層では、レベル上げよりも次の階層への階段を探すことを優先する。

 そして無事に階段を発見して、3階層。

 探索している俺たちの前に2体の魔物が現れた。



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『レッドトータス』

 討伐推奨レベル:440

 ランク:C


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 亀の魔物だが、動きはそれなりに速いみたいだな。

 甲羅に閉じこもって、ソニアに体当たりしている。


「器用なことをするんですね……! ──きゃっ!」


 ソニアが後ずさると、カチッという音がした。

 地面からプシューと白色の霧が放出され、ソニアを包み込んだ。


「ソニア、大丈夫か!?」

「ごほっ、ごほっ! はい、なんとか──って、ええっ!?!?!?!?」


 霧から晴れると、ソニアの装備一式が外れていた。

 つまり、ソニアはダンジョンで下着姿を晒しているわけだ。

 ふむ、これがダンジョンの罠ってやつか。

 装備を外されるのは結構嫌な仕掛けだな。

 魔物との戦闘中にこの罠が発動してしまうと、どうしても後手に回ってしまうことだろう。


「ロ、ロアさんっ! み、見ないでくださいっ!」


 ソニアは恥ずかしそうに顔を赤らめながら言った。


「無茶言うな。──《身体強化》」


 ソニアの前方にいるレッドタートルを視界に捉えるには、どうしてもソニアが見えてしまう。

 しかし、この状態で《水刃放射》を使うにはソニアと連携が取れない。

 だから俺は《身体強化》を使って、場所をレッドタートルが並ぶ左側に移動した。


「《水刃放射》」


 2秒経過して放たれた《水刃放射》はレッドタートル2体を貫いた。

 これが場所を移動した狙いだ。

 ソニアに攻撃が当たらないし、レッドタートルも一度の詠唱で2体倒せる。


『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』

『レベルが3上がりました』

『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』

『レベルが2上がりました』


 5レベル上がったか。

 やはり討伐推奨レベルが高い相手と戦うのはレベル上げの効率が良い。


「ソニア、大丈夫か?」


 ソニアを見ると、しゃがみながら腕を組んでいた。


「は、はい……。あ、あのロアさん……あっち向いててもらってもいいですか……?」

「ああ、悪い悪い」

「──ふぅ。もうちゃんと着れたのでこっち向いてもらっても良いですよ」


 そう言われて、俺は再びソニアの方を向いた。


「災難だったな」

「本当ですよ……。まさかこんな罠が仕掛けられているなんて予想もしていなかったです」

「まぁ怪我しなくて良かったな」

「そうですね、完全に不意を突かれたので、もっと危険な罠だったら危なかったと思います。どんな罠があるかは分かりませんが……」

「……ん? 待てよ」


【アイテム作成】で何か対策できるようなアイテムを作れないだろうか。

 ちょっと探してみるか。



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 [探知の指輪]

 消費レベル:150

 効果:ダンジョン内の罠を見破ることが出来る


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 ……あったわ。

 消費レベル150か。

 俺の分とソニアの分、2つ作れるな。

 この際、2つ作ってしまうか。


『【アイテム作成】の効果により[探知の指輪]を2つ作成しました』


 作った指輪の片方をソニアに渡す。

 

「ダンジョン内の罠を見破れるようになる指輪だ。これを付けて慎重に行動すれば罠に引っかかることはないだろう」


 装備してみると、地面に光っている部分が現れた。

 なるほど、これが[探知の指輪]の効果か。



「たった一瞬でこんなものを作ってしまうとは……便利すぎますね」

「はは、まあな。でもレベルが77になってしまったから、頑張って上げないとな」

「ここの魔物達はCランクですし、ロアさんならすぐにレベルを上げられそうですね」

「だろうな」


 そして案の定、それからレベルはめちゃくちゃ上がった。

 3階層、4階層を探索し終わる頃にはレベルは270レベルになっていた。

 レベルアップの速度が段々と上がっていくのは気持ちがいいな。



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【今日の戦果】


 [魔石(Cランク)] ×23 (1個6000ムル)


 [ヒートボアの皮(依頼用)] ×5 (1個3000ムル)


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 ダンジョンから帰ってきた俺たちは依頼の報告と換金を済ませた。


「よし、じゃあ温泉に行こう!」

「ふふ、ロアさん楽しみにしてましたもんね。……まぁ私も楽しみにしてましたけど」

「知ってはいるけど、入ったことないからな。どういうものか気になる」

「ダンジョンから帰ってくる途中に見つけた公衆浴場に行きましょうか」

「そうしよう。飯はその後でいいな」

「汗を流してスッキリしてから食べる方が美味しそうですね」

「そうか? いつ食べても美味いと思うけど」

「……そうでした。ロアさんってあまり細かいことは気にしない性格でしたね」

「ああ。自分で言うのもなんだがとても図太いと思う」

「だから本当に自分で言うものじゃないですって!」


 そんなことを喋りながら、俺たちは公衆浴場へ向かうのだった。

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