エピソード七 高校卒業の頃から不安定になる
高校卒業の頃から精神が原因不明の不安定さで、生活が困難になっていた。例えば、なぜだか涙がとまらない。毎晩、自宅の一階にある自分の部屋から、二階の両親に向かって「右腕をかえせ!」と叫んでいた。
この件が高校卒業後すぐの三月ごろの事か、専門学校を中退した九月ごろだったか記憶があいまいだ。
とても大きい悲しみの記憶だけは残っていて具体的に何をしたかとか覚えてない。引きこもって何もしなかったかもしれない。
五十才の今に考えると、専門用語の破瓜(統合失調症の病型の一つ。女子に限らず思春期から二十才前後に発症する。)だったのではないだろうか?精神の暴風がふいていて行動も記憶もあいまいだ。この時期ににメンタルの病院へかかっておけばよかったと後悔している。
高校卒業する時に進路が決まっていたが、日本映画学校という新百合ヶ丘にある映画や芝居の専門学校に合格して、進学が決まっていた。しかし自宅から片道二時間の距離は通学するのも苦痛で、次第にやる気もなくなっていった。結局二学期の授業費用の滞納からの中退という最短コースをたどったのであった。
だが、濃い半年でもあった。研修旅行で会津磐梯山のふもとへ農業実習へかりだされ、こともあろうに某宗教の信者宅に寝泊まりした。朝から読経に付き合い、その後草むしり、運搬、宴会と現代日本の農家の一側面を見せてもらった。というかここで知った日本酒が美味かったのだけど銘柄を忘れてしまった!思い出した。花春だ!帰りの電車の中で一升瓶を全部、飲んでしまった記憶がある。
ほかに短編映画に女性の下着を盗む役として出演した気もするが、カメラテストで返されただけだったようだ。この辺も記憶があいまいだ。
そうだ!この映画学校の音楽の授業で「憧れのハワイ航路」と「レット・イット・ビー」を覚えたのだ。著名な音楽家、名前も顔も忘れてしまったが彼に歌を教わったのは唯一残ったスキルだ。おかげでカラオケなら誰にも負けないくらいうまく歌える自信がある。
俳優コースのクラス担任がウルトラマン80の主演長谷川某氏だったはずだ。先生と慕った気もするがあまり記憶がない。
専門学校の先輩にウッチャンナンチャンがおり、深夜番組のガヤとして一回ゲスト出演させてもらった事がある。芸能界の闇について言及したような、しなかったような気もするが、内村さんが「芸能界に必要なのはともかく運だ!」と声高に言ってたのは記憶している。
同時期にバイトもした。横浜西口ジョイナス地下二階のレストラン街にあったL(今はもうない)というパンケーキの店で皿洗いのバイト。手荒れがひどく、指先はガサガサになってしまった。地下二階のやたらと狭い厨房で、ひたすら皿洗いをしていた事を覚えている。店長がオーナーの息子で酒乱だった。バイトの終了時間が京浜急行下りの終電に近かったのもあって、バイト上がりに猛ダッシュで帰宅してたのも覚えている。パンケーキの店なのに、よくそんな遅い時間まで営業していたなと五十才の今は思うのだけれども。
どうしてバイトを辞めたかは覚えていない。甘いパンケーキの匂いと、狭い厨房で身動きがとりづらかったなあと思ったりしたものだ。
次は今はなきM屋(伊勢佐木モール)の地階食品フロアで、ハムソーセージの店Rで販売員のバイトもした。自分でも販売員のバイトをするとかありえないと、いまだに謎の行動すぎて思い出して笑ってしまうのだけれども。他の販売員に背がとても小さく超巨乳の人妻がいて、ちんちんに悪かった思い出もある。ついでに繁忙期の横浜東口SのRにも派遣された。そこの食堂は広くて飯も美味かったのを覚えている。
流行していたのは淋しい熱帯魚。ウインクの無表情が印象的な楽曲だ。レコード大賞受賞。
映画学校では「しっかた(ぶり)」と何か事があるごとに言われてた。相手はツッコミなのか知らないが、自分は五十才になった今も相当に傷ついている。知らない事は知らないと言っていたはずなのに何か言われる。話しているとしゃしゃり出たくなってしまうのだった。この誰かが興味深い会話をしていると話に加わりたくなる。強烈な衝動はなんだったのだろう?不安からきているのは五十才の今ならわかるけれども。
どうして映画学校を中退したのか?一つには二学期の学費がなかったからだ。もう一つは、病的にやる気が無くなったからで、先を考えずとりあえずノリと勢いだけで入学を決めたはよいが、いつまでもテンションが高い訳でもなく、いつもの精神の低空飛行へ、逆戻りしただけだった。どうやらこの頃からすでに双極性障害(いわゆる
普段は憂うつだが、ある瞬間から
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