第30話 すき焼き

色々と

会わなくてはいけない人がいて

そんな仕事を終え

俺は18時過ぎ

唯香の部屋に行った


中学校の先生って

何時に仕事終わるのかな?


昨日も唯香が来たのはけっこう遅かったし

今日も遅いのかな?


部屋の前にいると

なんだかストーカーになったみたいだ


唯香、帰ってきたら

驚くかな?


嫌かな?


急に不安になって

帰ろうとしたとき


唯香の部屋のドアが開いた


「あれ?」


それは

唯香のお母さんだった


俺はお母さんに強引に呼び込まれ

唯香の部屋に入って待つことになった


良いのかな・・・

あいつ

帰ってきたら怒るのかな?

勝手に入り込んで・・・怒るよな


「愁くん久しぶりね~

また格好良くなったんじゃない?」唯香ママ


そう言って

俺に麦茶を入れてくれる


「おばさん元気そうだね」愁


唯香のお母さんは嬉しそうに横に座って


「ええ、まだまだ元気よ

だけど

いつまで元気かは分からないけどね」唯香ママ


子供のころ

唯香のお母さんにはお世話になってた

チームによく差し入れしてくれて

試合の送り迎えも車を出してくれたりして


唯香のお母さん面倒見がいいから

めっちゃ怒ったりするんだけど

みんな大好きで

みんなのお母さんって感じだったな


唯香が面倒見がいいのは

お母さんの影響なのかもしれないな


「昨日も唯香と幸助くんと一緒だったんでしょ?」唯香ママ


俺は小さく頷く

知っているのか・・・

どこまで話してるのかな?

俺が告った事・・・まさかな


「唯香

昨日、愁くんに送ってもらったって言ってたから・・・

今日も約束なの?」唯香ママ


唯香のお母さんは興味津々


「いや・・・」愁


俺が言葉に詰まっていると

唯香のお母さんは”はっ”とした顔になって


「えっ?まさか?」唯香ママ


キャピキャピしてきた

俺は動揺して


「違う違う」愁


唯香のお母さんはまだ

何も言ってないのに

俺は全力で否定する


「違うの?」唯香ママ


ちがくは無いけど・・・


唯香のお母さんは

がっかりした顔でこちらを見るから困る


「ただいま」唯香


そうしていると

唯香が帰ってきた

唯香は俺の姿を見ると

驚いた表情で


「どうして?」唯香


純粋に聞く

そうだよな

どうして?だよね


俺はバツが悪くて


「おじゃましてます」愁


そう言って頭をぺこりと下げた


唯香は唯香のお母さんの方を見る


「ドア開けたら愁くんいるから

上がって待ってもらったの

悪かった?」唯香ママ


すると

唯香は首を横に振って


「別に・・・いいけどね」唯香


そう言って

奥の部屋に入っていった


「愁くん

今日はすき焼きするけど

食べて帰るでしょ?」唯香ママ


上手そうな匂いがしている

懐かしい匂い

俺は


「はい」愁


昔のように大きめの声で返事をした


唯香は隣の部屋からこちらを見て小さくため息をついた


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る