第20話 空っぽの部屋

今日は久しぶりに一人の週末

栞がいない部屋は寂しくて広く感じる


最近、栞は平日にはここへ来ない


アルバイトもあるけど

けっこう勉強も大変らしくて

私と会っていると

やはりその時間がとれない

授業中の居眠りと成績の下がりっぷりを強めに注意され

家にも連絡されたらしい


放任主義のお母さんからも

さすがに心配されたらしく

次に先生から電話が来たら

門限も決めるし

バイトも辞める

と約束させられたそうだ


彼の今の仕事は“学業“だ…


私の休みは平日で

土・日は仕事で忙しい

平日、会っていないからと言っても

毎週末夜更かしになってしまうのは体力的に持たなくて


少し痩せた


でも、彼に会いたいから

頑張っていたけど

栞の方が私の異変に気が付き

泊まりに来た日の朝方


「ごめんね、無理させてるよね❓️」栞


私を背中から抱きしめて

そう言った


翌日、栞が帰ったあと


“毎週末、会いに行くのはやめとく

会うと我慢できないし“


と、メールで伝えてきた


さっきまで会っていたのだから

その時に言えば良いのに…


でも、考えて

そう思ってくれたのだろうから

彼の優しさだと思い

私はそれを受け入れるメールを送った


それから一ヶ月

栞に会えていない


こんなに会えないのは

こうなってからはじめてで

寂しい…


電話が嫌いな私のために

栞はたまにメールをくれるけど、

高校生と社会人では話題はすれ違う


そんな時ギャップを感じる

なんだか不安になる


今日は仕事も休み

一人で街へ買い物に行く

最近はずっと家に引きこもっていたから

久しぶりだ

一人で街をプラプラ


夕方ごろ


衝動買いした洋服やバッグの袋を両手に持ち

ヨタヨタと歩く


もう日が暮れはじめた


人気のスゥイーツ専門店の前

ガラスに写る自分を見ると

なんだか疲れてる

リフレッシュするための買い物だったのに…


ケーキ食べようかな❓️


いや、店内はカップルで一杯

やめておこう


そうして帰ろうとしたとき

私の目に入ってきたのは


栞と一緒にいるのは

以前に一緒にいた派手な女の子


二人は制服のまま

横どうしに仲良く座って

一つのパフェを食べている

頬があたりそうなくらい顔を寄せて話をしながら…


これは…これは…


頭の中はグシャグシャに散らかって

何を思えばよいのかわからない


私はとかくくその場所から離れようと

足早に家へ向かった

パニックになっていたからか❓️

二駅もある距離を歩いて帰った


もちろん、ヒールはすり減って

お気に入りのパンプスはダメになった

白いソファーに買ってきた荷物を投げつける様に置く

その場にヘロヘロッと座りこむ

そんな時メール


“今日は休みだって聞いたけど

今から誘っても大丈夫かな❓️“


早川からだ


何なんだろう

このタイミング


最近は連絡なかったのに…


怖いくらいに私を分かっている

欲しいときにくれるメール

聞いてほしいことがある時に

誘われる

だけど、話せる内容ではない


もし会うと

今夜会うと

こんな感情で会ってしまうと

間違えた選択を先走ってしてしまいそう


だけど今、一人でここに居るのは

むなしすぎて…


どうするべきかスマホの画面を見ながら

考えていた


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