第2話 彼氏(上)

地味目な高校生活のおかげもあって

結構いい大学に入学できた私は

やっとオシャレや遊びにも興味を持つようになり

同じゼミの仲間と遊びにいったりするようにもなった

世にいう大学デビューな状態だ


彼氏もできた

あれは

大学2年生の時だった


人生初の告白をされた


5月にゼミの皆でバーベキューへ行った時だった


みんな仲の良い男女6人

七海(ななみ)は

帰国子女で気が強いと言うよりは芯のある性格で

男の子たちは長く美しい髪の毛に騙されがちだが

サパサパした性格で男勝り

美咲(みさき)は

小学校から高校まで女子高育ちで父親以外の男の子と関わったのは大学生になってからで

ゼミ生以外とは緊張してなかなか会話ができない不器用で大人しい子

聡(さとし)は

かなりの苦労人らしくて大学の学費もアルバイトを掛け持ちして支払っている

そんな事もみんな分かっているから

皆、ノートや情報を彼に惜しみなく渡している

純一郎(じゅんいちろう)は

優しい性格で同級生なのに少し大人びている

男子からも女子からも悩みを聞いたりするのが得意で

このグループのまとめ役なのかもしれない

修斗(しゅうと)は

ハキハキとした性格で言いすぎてしまうことも多々ある

ピュアで曲がったことが許せない性格

みんなから”もっと柔らかくなれ”とからかわれている


1年生の時から変わらないメンバーだったから

これが初めてのバケーションではなかった


仲がいいから

暗黙の了解で恋愛は禁止とされていた


誰かが付きって

良いときはいいけど

別れてしまったら

この仲間との関係も亀裂が入ってしまうから

みんなここを大事にしていた


テント張りやバーベキューの準備

私たち仲間は

男だから

女だから

なんてことは言わず

全員で手分けして協力して作業する


バドミントンやフリスビーをして

もうくたくたになって


いい具合にお酒も入っているから

つぶれた人からテントに雑魚寝状態になった


お酒が強いわけではないけど

今日はなぜだか酔えなかった


満点の星空の中

私はテントから少し離れたベンチでスマホを見た


昨日

皆でこのキャンプの打ち合わせをしていた時の事

”ポロリン”

とメールの着信


すぐにメールを見る

目の前にいる仲間からのメール


”明日、悠に話がある

皆が酔いつぶれたら話したいから

少し離れたところでまっててほしい


くれぐれも誰にも内緒で


一番に酔っぱらうなよ!”


純一郎からだった


意味深なメール


思わず彼の顔を見た

彼は不自然に目をそらした

そして私も何もないふりをした


だけど

胸がドキドキ高鳴った


なんだか期待してしまうこの状況








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