9 母のように
学校での毎日は相変わらずぱっとしないが、一希は新藤に会える日を心待ちにしながら何とか持ちこたえていた。
今日は昼休みに入る前、生徒数人で備品を倉庫に運ぶよう指示された。授業に使った爆弾の模型と付属品だ。
重さなど知れているし、こういうときに
道具を運ぼうとジャージの
「お前いいよ。手、足りてるから」
と止められた。何となく予想がついていた展開だ。
「ううん、私もやる。どうせ暇だし」
「いや、なんか顔色悪くねえか?」
そこへもう一人が、
「そういや、さっきの休み時間、薬飲んでなかった?」
「ああ、あれはね。いつものやつで、大したことないの」
実は、今朝から生理痛がひどかった。
結局、制止を押し切って大きな道具箱一つを運び、
高校時代にも、体育の後片付けだの机の移動だのは、こちらの体調が良いときでも男子がやってくれる空気があった。「任せとけばいいじゃない」、と女友達は口をそろえる。
しかし、不発弾処理という過酷な世界を
世間では専業主婦が圧倒的に多い中、外で働きながら家のこともすべてこなす母を一希は尊敬していた。実質的には「女手一つ」に近かった。その
母はスムである父と結婚した時点で、実の両親も含め全親類から絶縁されている。唯一の頼みの
そんなときに起きたあの事故。
見舞いを
一希と両親は忠晴を
住んでいた
一希は、母に苦労を
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