受け止めて

綿麻きぬ

 僕はクズだ。自分が弱いことを言い訳に好き勝手し、相手を傷つけている。そして傷つけたものは傷がついたからと言って捨てる。


 自分で手一杯だから、他の物にまで手が回らない。回らないと分かっていながら、今回こそは大丈夫と信じ込んで手をだす。自分のキャパを分かっていながら、キャパを越えていく。


 そうやって僕は様々なものを傷つけ、捨てる。


 そんな僕は君に出会った。


 君は出会ったもの全てを受け止め、傷を負う。そんな君は僕さえも受け止めようとしている。僕なんかを受け止めたら君はきっと最後の砦を崩すことになる。そしてその砦はもう元に戻れない。そしてそれを僕は分かっている。君も分かっているはずである。


 だが、案外君は分かってないのかもしれない。他の人と同様に僕を受け止めたら自分が壊れることを。そして君は僕が負わす傷の深さをしらないかもしれない。


 そんなことを表面上では思っていても、君に僕の全てを受け止めて欲しい。だから僕は君に近づいていく。傷つけ捨てると分かっていながら。


 あぁ、ごめんね。だけどもしかしたら君は耐えられるかもしれないから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

受け止めて 綿麻きぬ @wataasa_kinu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ