F=mghcosθ

タイアのゴムは、人知れず

身をよじり、擦り減らしながら

モペッドを、走らせてくれている。


ありがたい。魔法のようだと

ルーフィは思ったりもする(笑)。


その実、ルーフィは魔法によって存在している訳だし

そのご主人様にしても、魔法でもう

200年も眠っている。



魔法のエネルギーは相当なものだ。







モペッドが、右カーブからひだりカーブへ。


傾いているめぐ、ルーフィ。


その質量が、モペッドのタイアに与える位置エネルギー、それが

カーブを曲がるエネルギーになる。



たとえば、質量mの物体が

重力g、高さhで得るエネルギーFは

F=mghである。



傾いている場合、傾きθとの関数で表されるので



この場合、F=mghsinθである。



その力が、モペッドのタイアを傾け

地面に押し付ける。

斜め向きの力は、反対にタイアを

外に押し出そうとする。


エンジンは、前にタイアを回そうとするので


その合力で、モペッドは曲がる。




カーブを右左。



その中立点では、ゼロになる。




グラフを書いたら、魔法陣のようだろうと

ルーフィは思う。



ルーフィの魔法も、そうした

物理法則に大方沿っている。


たとえば、さっきの式は3次元空間の話なので


4次元や、0次元に

モデル展開すると


Fや、mは如何様にも作れる。



そうして物体を移動させたりもできるし




たとえば、3次元空間の

相対性理論、アルバート・アインシュタインの唱えたそれは



光の速度で、ふたつの座標を決めているので


そのふたつの距離を、光の速度を

超えて進めば、時間が逆戻りするとか

あるいは、空間が歪むと


数学的に言われている。




それは、光が真っすぐ、3次元空間を進む場合であるし




光の速度で距離を定義したから、そうなる訳だ。




実際には、短い距離では

測定できないし



光の速度で指定できる座標なら

真っ直ぐに進もうとしても、必ず歪む。



重力場が複数あるし、3次元だけの

宇宙はありえないからである。




つまり、マイケルソン・モーレーの

実験くらいの距離でも

空間は歪んでいるし


地球上くらいの距離で、時間を

3次元的に戻そうとしても

実用にはならないのだ。



ルーフィたちのしているように、4次元や2次元、0次元の時空間に

モデル展開して、エネルギー変換する方が簡単なのである。




18世紀からあった魔法、ではあるが


継承されることなく、現代に至っている。






弛みなく、地球が回るのも

実はそうした、超次元エネルギーが

源である。




それを知ることなく、人々は生きていても


一向に構わない(笑)。



そういうものだ。




ルーフィとめぐが、物理法則や

科学技術を知る事なく



モペッドのドライブを楽しむように。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る