旅の終わり

それなので、わたしたちは

天使さんに、お話をして。


「そろそろ、戻ろうかと思うのです」



と、言うと、天使さんは


「淋しくなりますね、でも、いつでも

遊びに来てくださいね」と

水晶のように微笑むのでした。



めぐは、そろそろ夏休み。

ハイスクールの休みは長くて

秋までを、ゆっくりとバケーション。


わたしの記憶だと、スイスのお山とか


涼しいところに出掛けたりした。



めぐも、そうするのかな・・・。







おばあちゃんに、帰る話をすると



「ずっと、いらしてくれていいんですよ」と

にこにこしながら。



そーいえば、ごはん一杯食べてたし(笑)と

ルーフィは、わたしをつっつく。



「なによ、あんただって。おいしいおいしい、って

パスタ3さらも、魔法使いのくせに」




と、言ってしまって。


あっ、と、気づいた。



おばあちゃんは、神様の粛清で

魔物の記憶を忘れているはず・・・。



「いいんですよ、わたしは。」と

おばあちゃんは穏やかに微笑んだ。



「わたしは、ずっと、覚えているんです・・・そう、わたしがめぐ、くらいの頃から。

わたしのおばあちゃんから、受け継いだ能力・・・・なの。」


ずっとずっと昔から、ときどき

うちの家系には、魔法使いになれる女の子が生まれると

おばあちゃんは、静かに告げた。




それが、めぐ。



つまり、わたしの世界で言うと

それはわたし、と言う事になるけど


そんなはなし、聞いたことないわ(笑)。




「すべて、ご存知だったんですね」と

ルーフィ。




おばあちゃんは静かに頷き、「未来には、魔法使いの時代が再び訪れるはず・・・・」と、にこにこして。




「ルーフィさん、あなたの世界で3年後のめぐ、を大切にしてあげてくださいね」と、面白い事を言った(笑)。




それは、つまりわたしの事になるけど(笑)。




「予言では、魔法使いのお婿さんが来ることになってるの」と

おばあちゃんは楽しそうに笑った。




あれ?



それは、どっちの世界の事?



お婿さんって、ルーフィ?



どっちの世界でお婿さんになるのー?



と、思ったけど、ルーフィは

「それ聞いたらつまんないでしょ」


と、わたしを引きずって(笑)



その場を離れた。





2階のテラスで、風にあたっていためぐ、にも


わたしたちは、旅の終わりを告げた。




めぐは、悲しそう。



「もっと、ずっと、いてくださっていいのに」




って、おばあちゃんに似た言い方をするので



ちょっと微笑ましかった。




めぐは、とってもいい子。



淋しいよね。



だって、好きなひとが

遠くに行っちゃうんだもん。


でも、取り乱したりしたら

好きなひとが困る。



そう思って、おとなしくして。



いい子だけど、それ、無神経ルーフィに伝わるかな・・・・(笑)なんて、わたしは思った。




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