お嫁さん

「にゃごー、ごはんよ」と

おばあちゃんは、にこにこしながら

にゃごのごはんを作ってきた。


おさかな、あじの干物を

焼いて、骨をきれいにとってあげて。



「そうそう、めぐにもよく、こうして

あげたっけ」



おばあちゃんは思い出す。


幼い頃のめぐは、あじの干物とか

あんまり好きじゃなかったみたいで


(まあ、子供はそうだけど)



おばあちゃんは、骨を取って、

きれいに身だけを取って



めぐに食べさせて。




残った骨と頭は、飼っていたにゃんこ、みーこにあげるのだけど


みーこも、頭とかだと

文句を言ったりして。


もちろん、猫の言葉で言うのだけど(笑)。




駄々をこねる猫を、可愛がっている

おばあちゃんだった。


いま、にゃごをかわいがる

おばあちゃんは、しあわせそうだ。



可愛がる対象があるから

ひとは、優しくなれて。


そういう対象がない時、心が荒んでしまったりする。



家族が必要な理由である。




「めぐも、ついこないだ

赤ちゃんだったのにねー」と


おばあちゃんがにこにこしてると



めぐは、ちょっと恥ずかしそうに


微笑んだり。



「もうすぐ、めぐもお嫁さんよね」とか


言うと、めぐは、なんとなくどっきりしてしまったり(笑)。




ずっと先だもん(笑)。。


なんて、こころのなかでつぶやいて。




そう、めぐはルーフィが好き。


ルーフィには、「向こうの時空」から一緒に旅してきた

Meg、つまりめぐの3年後、と言う

ややこしい彼女(笑)が居るのだった。




不思議トライアングル。


それは、いつか解消する。

たぶん、元の時空に彼らが帰ってしまえば

もう、会えなくなる。



めぐは能力者だから、時空を旅すれば

「向こうの時空」に行く能力はあるけれど



その能力は、魔法だから

魔界に近い雰囲気を持っていて


めぐに宿っている天使さんの、天界の雰囲気と相反するエネルギー。

なので、天使さんが疲弊してしまうから

めぐの、能力者としての意識は

自らを封印したのだった。



もちろん、人間としてのめぐは

魔界との関わりがあった記憶を忘れるために

一度、時間を逆転させて

再度、記憶を積み重ねた。



能力があった事は、覚えていない。

けれども、それを思い出すかもしれないし


天使さんが、そういうめぐを

自由にしてあげたい、そう思っている....。








「きょうは暑かったわぁ」と、おばあちゃんは

にこにこしながら。



夕方になると、丘に建っているこの家は

草原を渡る風が、さわやか。




にゃごも、のんびり。



涼しいところを探して、ごろり、と

横になった。



リビングにある、アンティークの真空管ラジオからニュース。



熱帯植物が、昆虫の大発生のせいで

枯れたせいで、二酸化炭素が増え

太陽の熱を宇宙に逃がせず、地球は暑くなっている。




昆虫に転生したような、欲の深い人間たちは

そんなに数が多かったのだろう。



考えてみると、この国が

戦争に負けてからは、ずっと

愛や正義より、お金儲け、そんな感じ。

言い換えれば、この国の「雰囲気」だ。


天使さんの雰囲気、魔界の雰囲気。



それと似た、この国の、それまでの雰囲気。



ルーフィや神様ががんばったから、過去のものになったけれど..。



お金を持っていれば、正義や愛を支配できる、なんて

間違った雰囲気を持つ人は、悪い雰囲気を失ったけれど

その行状のせいで、虫になってしまって。


それも自然の摂理だけれども。



まだ、当分は変わりそうもない。

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