天使さんとにゃご

天使さんは、もちろん神様のお使いだから

にゃごが、どんな感じで

人命救助(にゃん救助かしら笑)を

したか、は

理解していた。


特別、いい行いをして

神様に認めてもらおうとか。


そんなつもりでもなくて。



ただ、魔力のある者たちとの


毎日の争いの中で

荒んでいた気持ちが、ひとりになってから


生き物らしい感情を取り戻した。

そんな感じ、なのではないかと

天使さんは、感じ取っていた。


例によって、にゃごは寡黙である。


そのあたりは、悪魔くんだった頃からと

あまりかわらない。


でも、今のにゃごは思う。


悪魔になる前、人間界で

荒んでいた頃も、べつに

好んで悪いことをしていた訳じゃなかった。


周りがそうしていたから、そうしてた

だけ、だった。



環境は大切である。



いま、にゃごは

転生してよかったと思っている。


魔力はなくなったが、元々

悪魔になりたかった訳でもない。



いま、にゃごは幸せだ。




それだけでも、天使さんに出会えて

良かったと思っている。



天使さんを大切に思うから、幸せになれた。



でも・・・・・



天使さんは、このまま

人間界に居続ける事はできないから

そのことは、にゃごにも感じ取れていた。



天使として、人間界に居る事ができたのは

めぐ、の命を助ける為だったし

自らも、癒しを得る必要があったから。



でも、それが済んで。




いまは、にゃご、と共に

いつか、転生して

天国へ昇れる日を待っている。



そうして、にゃごの幸せと共に

生きていく事が、天使さんの願い。


でもあったのだけれども。


そのために、めぐが

魔法使いの能力を封印したのを知り



天使さんは、ちょっと、それが

きになってしまった。


ひとを幸せにするのが、天使。

なのに、ひとに気遣いをしてもらっているのは・・・・・



ちょっと、天使さんはそれを恥じた。



「めぐさんにも、しあわせになっていただきたいのです・・・・」








もちろん、にゃごは猫なので


普段、そんなに深く考えてはいない(笑)。




ごはんが好みでなければ、文句を言うし(笑)。


雨の日には、あそびに行きたくて

柱をがりがり、爪とぎしたりする(笑)。




そのたびに、おばあちゃんが

にこにこして、にゃごを愛でてくれるので


それが、とってもうれしいにゃごだった。



思えば、悪魔になる前、人間で

生まれたばかりの頃、そんな触れ合いが欲しかったような


そんな気もするのだけど。



長い時を経て、ようやくそれに

出会えた。


そんな気もする。




「なご」



「おや、ごきげんね、にゃご」




おばあちゃんとにゃごの会話は

そんなふうに、続く。


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