思い出

それはそれで、楽しい出来事が

あるのかもしれないけれど。

でも、今のめぐにとっては

いまの気持ちは、自然なものだったから

特別に、変えなくても

いい。

そういう、素敵な季節を

生きている。


その時は、気づかないけれども

後になって、振り返ると

そう思う。

そんなことが、誰にでもあるものだ。


「じゃあ、ありがとう、本当に。」

司書主任さんは、いつもの

のんびりした表情で。


すこし、忙しかったからか

汗の

浮かんだ額で、そう告げた。


その、汗の感じを

めぐのクラスメートたちは、

ちょっと嫌ってしまうような、そんな季節だったりもするけれど。

めぐは、そんな風には思わなかった。


お父さんみたい。


そんな感じにおもうだけ、だったり。めぐのお父さんは、優しいから

幼い頃、いつも一緒にいて

守ってくれる、神様みたい。


そんな存在に感じていた。



それも、ファンタジーなんだろうけれども

でも、少年期にはよくある


現実と夢想の

合間を、曖昧に漂っているような

いまの感じを、めぐは好きだった。


幼い頃から、ずっとそれは続いていて。


その世界が、本の世界に

つながっているようにおもっていたりもした。

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