めたもる


「あ、でも。」わたしはふと思った。

今のメタモルフォーゼ(w)で、もとの姿に戻ったのに

めぐは、なんにも気づいていないみたい。


カウンターに行って、聞いてみた。



「あ、ほとんどいっしょですよぉー。」と、めぐは

かわいらしく笑顔で。



そっか。


ハイスクールの頃と、今のわたしって

そんなに変わらないんだ....。



「うん、だって、2年くらいだと

そんなにかわらないよね。」と、ルーフィはにこにこ。



わたし自身が思っているほど、老化(4w)は

周りのひとには分からないらしい。



「でも、めぐはあんなに元気で。あれって、ハイスクールの頃のわたし、でしょ?ねぇ、ルーフィ。」



「うん、それはホラ、ここは次元がずれているから。

彼女はそのまま、君の過去の姿じゃないもの。」と、ルーフィ。




そういえば、なんとなく性格も違うような...(2w)。



カウンターで、図書の貸し出しをしているめぐ、を

遠くから見ていると


それが、わたし....なのかな、と

そう思えば、そう見えるかもしれない。



少し、感じは違うけど。



めぐは、一生懸命だ。

重い本、事典のようなそんな返却本を

カートに乗せて。

分別して、もとの本棚に返す。



学校の図書室だったら、借りた人が返しておくのに。


わたしは、そんな風にちょっと思った。


公共の図書館でも、図書カードを返却したら

本は、借りた人が元に戻す、そういう図書館の方が多い。



この町の図書館は、サービスがいい、のかな....。



そんな風にも思ったり。



でも、そんな事を思いもしないで、ハイスクールの頃は

本に触れている仕事、それを楽しみに

アルバイトに通っていたっけ。


それが慣れ、なのかなー。



「うん。あたりまえ、って幸せだよね。もっと楽ならいいのに、とか

あたりまえを不しあわせ、って思う心に、悪魔が憑くんじゃない?」と

ルーフィは、あたまの上で手のひらを、ひらひら(笑)。




思わず、天を仰いだけど。

悪魔くんはいなかった(w)。



「ま、そんなものかもしれないけど。ふつう、誰だって不平って感じるもの。

そのくらいじゃあ悪魔くんは来ない、かな?」って


ルーフィは、にっこり、Wink。




そうしてる間にも、重たい本をぎっしり詰めたカートを押して

めぐ、は

図書返却の仕事に回った。



あっちこっちの書架を回ってるので、時間が掛かる。



そう、思い出した。

最初に、書架の順番に整理しておけば、早く終わるんだった。


図書館の本って、番号順になっているから。




ひんやり



それを、彼女に伝えようとして

わたしは、ひんやりとしている図書館の空気を

頬に感じながら

まるい柱で吊られている、天井と

壁の間の書架、その隙間にある通路を

歩いていった。


ルーフィの魔法が解けていたせいか、

すこし、歩きやすいような

そんな気もする。


コンクリートのに、直接フローリングが

貼られている床、歩くと

リアルに固い感触があって、それで

ここの図書館だと、わたしは

古い記憶を呼び覚ましながら。


カートの行方を追った。



工学のコーナーに、めぐ、は居て

慣れない、理科系の本を

書架に戻そうとしていた。

それも、分類コードを覚えれば

簡単なのだけど

まだ、はじめてからそんなに

日が経っていない、らしい。



.....わたしは、誰に習ったのだろう?


そう、回想したけれど

ぜんぜん記憶が無い。


...もしかすると.....。


こんなふうに、どこかから来た

もうひとりのわたし、に

習ったのかしら?



だったら、楽しいかな。




カートに追いついて、めぐ、に


分類コード順に並べておくと、楽なこと、とか

返却する時も便利、だとか


いろいろ。


「ありがとうございます、たすかります。」

そんなふうに、素直なめぐ、は


とってもかわいい(にこにこ)。


女の子なのに、なんだか愛しちゃいそう(w)。



静かな、静かな図書館。

音がとても響いてしまうので

ここの図書館は、天井の一部が吹き抜けになっていて

2階から、3階までの空間が一緒。


それで、2階・3階が絨毯敷きになっていて

音を吸う仕組みになっている、と

わたしも、教わった覚えがある。


だから、小さな子が

少しくらい騒いでも平気なように、と

考えられている、らしい。




...そういう事を、司書さんに聞いた記憶が

あるんだけど。



あの司書さんは、どこに行ったの?



それとも、時空が違うから、いないのかな?








魔界・次元の歪み



そんな、わたしたちは

しあわせに生きているのかな...なんて

ほのぼのとしていた。


そうしている間にも、書架の整理をしているめぐ、に

本のある場所を尋ねる、急ぎ足のひとが居たりして。


めぐ、も一生懸命に探すのだけれども

一冊の本を、蔵書の中から探し出すのは

結構大変だ。


急ぎ足の人、は

勤めの帰りに来ているのかな、時間が無いのかな....。



わたしは、思わず「その本でしたら、2階の資料コーナーのはずです」と

お節介をしてしまって。



その、急ぎ足の人の頭上に、悪魔くんが憑く機会を狙っているような(w)

そんな気がして。



その人は、しかし「君は?」と、訝しげな表情。


わたしも、ちょっと失敗だったかな、と思いながら

「ここで働いていた者です、すいません、この子、まだ慣れていないので。」


と言うと、不満げな表情で、その人は踵を返し、二階へ。


後姿に、悪魔くんの笑顔が見えた気がした(w)



「ありがとうございます......。ここで、働いていたのですか?」めぐは

安堵の表情で。



「うん....わたし...ほら....もうひとりのあなた、だから....。」わたしは

ちょっともどかしく。




めぐ、は

にっこり笑って、さらさらの前髪を右手で撫でて

「そっか。そうでした。....ああいう時って、いちばんニガテ」と。



そう、わたしもああいう、イライラしてるひとってニガテだ。

それは、いまでもかわらない。


いまは、ちょっとふてぶてしくなったから(3w)

勝手にイライラしてて、しらないわ、わたし。

なんて思うんだけど。



ああいう人たちに、悪魔くんが憑いてるって思うと

ちょっと怖い。けど。

次元の歪みだったら、この世界だけじゃなくて


わたしたちの住んでいる「もうひとつの」世界にも

悪魔くんは来てるのかも.....!?




「時間のある時に来てほしいわ」と、わたしが言うと、めぐは


「はい....いろんな方がいらっしゃいますね。」と、にっこり。


わたしは、彼女に天使が宿っている、そんな気がした(w)。



ハイスクールの頃のわたしって、あんなだったのかなぁ.....。

もう、戻る事って出来ない、んだけど。



めぐ、みたいに

かわいくなりたい....な。



そう、心の中でつぶやきながら、わたしは

めぐの仕事がスムーズに進むように、遠くで見守っていた。



ルーフィも、いつのまにかわたしの近くに来ていて「いい子だね、あの子」



「うん....。なんたって、わたしだもん」と、わたしが返事すると


ルーフィは、にっこりして「そういう君って、とってもかわいい。」


そんな事いわれると、うれしくなっちゃうな。






「でも、どうして悪魔くん、ってこの世界から戻らないのかしら」




「戻り方が分からないのかもしれないね。」と、ルーフィ。

「彼らだって、魔界にいれば、あれがふつうなんだよきっと。」とも。




そっか....。


あの、イライラしてる人や、さっきのアジア人っぽい人も

あの人たちの世界が、あるのかもしれない。


それが、ひょっとしたら魔界と、人間界の中間にあるのかしら...。



そんな風に想像した。



「魔界が好きな人、っているのかしら」と、ルーフィに尋ねると



「いるかもしれないね。好戦的なひと、とか。

そういう人って、言ってみれば魔界との間にある[次元の歪み]が

自分自身だって気づいていないんだよ。」と、ルーフィ。



魔法で、なんとかならないのかしら......。?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る