天ざるそば


日曜の晩ご飯は、天ざるそば、だった。

父がこのところ、そばに凝っていて


とはいっても、そば打ちはできなくて

近所のおそばやさんから、出前を頼むのだけど(笑)


おいしいので、みんな喜んでいる。


更級、と言っても古文の時間に読む日記じゃなくて(笑)



おそばの実の、白い芯のところだけを使ったおそば、の事だと

父は楽しげに言う。



「.....あ....。」


わたしは思う。

ルーフィって、お腹空かないのかな....。





そんな風に思うと、気になっちゃって....



「....だいじょうぶ。」



ルーフィー?


わたしは、思わす声をあげそうになった。けれど

ひとりではなかったから、その声を飲み込んだ。


箸が止まったので、母がどうしたの?と訝しげに

尋ねる。



ううん、なんでもないの。と言うのが精一杯だった。


ルーフィ。そう、魔法使いだから

わたしと、お話ができるの?ロフトのお部屋にいても。



「....そうじゃなくて。」


ルーフィの声が聞こえる。と言うより

頭に直接響い日曜の晩ご飯は、天ざるそば、だった。

父がこのところ、そばに凝っていて


とはいっても、そば打ちはできなくて

近所のおそばやさんから、出前を頼むのだけど(笑)


おいしいので、みんな喜んでいる。


更級、と言っても古文の時間に読む日記じゃなくて(笑)



おそばの実の、白い芯のところだけを使ったおそば、の事だと

父は楽しげに言う。



「.....あ....。」


わたしは思う。

ルーフィって、お腹空かないのかな....。





そんな風に思うと、気になっちゃって....



「....だいじょうぶ。」



ルーフィー?


わたしは、思わす声をあげそうになった。けれど

ひとりではなかったから、その声を飲み込んだ。


箸が止まったので、母がどうしたの?と訝しげに

尋ねる。



ううん、なんでもないの。と言うのが精一杯だった。


ルーフィ。そう、魔法使いだから

わたしと、お話ができるの?ロフトのお部屋にいても。



「....そうじゃなくて。」


ルーフィの声が聞こえる。と言うより

頭に直接響いてくる感じ。



「....君に、力があるから聞き取れるんだ。」



わたしに、力?


かよわきオトメ、ちからなんてない。

命短し儚きおとめ。


「....面白いね君」と、ルーフィは声を上げて笑った。

わたしも、なんとなく笑顔になっちゃう。


「おいしいかい」と、父は

わたしの笑顔を見て、のんびりとそう言った。



はい、と

わたしは、曖昧に頷いた。


そうかそうか、と

父は、満足げな笑顔。

とりあえずルーフィはお腹空いていないみたい。

そのことに安心したのも、あるけれど


わたしは笑顔になれた。


おそばも、美味しく頂けた。










「ねえ、ルーフィってさ」



わたしは、ロフトのルーフィーのお部屋に

フランスパン、バゲットと赤ワインを持って。


お腹空かないって言っても、やっぱり

寂しいんじゃないかな、と思って。


ルーフィは嬉しいね、ってにこにこ。

赤ワインの栓を緩めながら。

「僕がどうかした?」




「ホントの名前ってどんなの?ルーフィって呼ばれてるって言ってたけど」




「ウィルヘルム・ルードヴィヒ13世」



「ホントに?」




「ウ・ソ。」




「もぅ、ルーフィってば」




「わはは」




ルーフィは、ウィットに切り返す。

そういう知的なところ、とってもいいな。

今まで会ったことの無いタイプの彼に、ちょっと

憧れのようなものを抱いた。



「でも、魔法使いってホントの年はいくつなの?

絵本だとみんなおばあさんじゃない」

と、わたしは思ったまま、そう言った。



ルーフィは、ははは、と笑って

「それはお話だけのこと。僕らは、ふつうさ。」



そこまで言って、彼は笑顔を収め


「稀に、200年眠っちゃう人もいるけどね」



ルーフィはそれからこう言った。

そういう能力のある人が、たとえば予言者になったり

信仰を興したりするんだけど。





...そうなんだ。


わたしは、なんとなく連想した。



モーゼや、イエス。

ノストラダムスや、ゴータマ・シッダルダも

そうなのかしら?





「たとえば、ノストラダムス。彼の本名は

ミシェル・ド・ノートルダム。

ノートルダムの天使って意味。」



ほんとに?とわたしが聞くと


うなづきながら、さらにルーフィは


「ビートルズの曲にミシェル、ってあるけど

あれも、天使、を唄ってるみたいだね。

もともと天使って男でも女でもないし

ひょっとしたら、ノストラダムスのことかもしれない」


わたしは、びっくりマーク。

そんなのってあるの?

「うん。ジョン・レノンに能力があったんだろうね。

だから、彼はこの世を去って、別の次元に行ったんだ」



「それって、天国ってこと?」

わたしは、知る限りの知識から類推した。




「うん、イエスがそういう事にしたから天国、って言われてるけど

ホントは別の次元の世界の事さ。」



ルーフィは、事も無げにそう言った。


ミュージシャンにも多い、とも言った。


ショパンやバッハ、マイルスやチャーリー・パーカー。

ジミ・ヘンドリックス、リッチー・ブラックモア。




「よくわからないけど、なんか妖しい人も多いね。」




うん、そういうものなんだ、と

ルーフィは言った。


それが、この世界の本当の姿で


見えているのは、3次元に現れてる部分だけさ、と。



「新しいジャンルを作る人は、たぶん能力者なんだよ。



そして、君も。」




「わたし...?」





「かわいい恋の魔法使いさん。」


ルーフィはにっこり。




わたし、どっきり。


それって、どういう意味。。。?

とっても不思議だった、二度の日曜日が過ぎて

ふつうに、月曜日がやってくる。


きょうは、仕事先の編集部に行く日。


この日ばかりは、ちょっとビジネスマンみたいな

気持ち(なったことないからわからないけど)。



ルーフィ、起きてるかな...

ロフトのお部屋は静かだから、まだ眠ってるのかしら。



ご主人さまは200年眠ってる、って言うから...

魔法使いってよく眠るのかな、なんて


思いながら、わたしはキッチンのとなりの

ダイニングに。



父も母も、のんびりとお茶、を楽しんでいる。

きょうは、インディア・ブレックファースト。


それを、父はレモンで。

母は、ミルクをたっぷりと。



おはようございます、とごあいさつ。


父も母も、にこにことGoodMorning


音楽は、静かに流れている。


ポール・モーリアさんの「恋はみづいろ」。


チェンバリストだったモーリアさんの、さわやかな

ストリングスナンバー。


でも、古い録音のこのナンバーは

リード・ソロを取っているのは、チェンバロ。


なりたかった、のかな。ソリスト。

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