第13話 告白
「うおっ!? 雫さん見てくださいよ! 星が綺麗ですよ!!」
「昼間に見た星とはまた違うわね」
俺達はファミレスを出た後、プラネタリウムから徒歩15分ぐらいの高台へと来ていた。
長い階段を登った先には、人々の営みが育まれている光と、数々の星達が俺たちを出迎えてくれる。
大きな大きな満月は、見ていて落ち着く優しい光を放っていた。
「あ、天の川」
「今日は晴れて良かったわね。 よく見えるわ。 これできっと織姫と彦星も出会えているはずよ」
「ですねー」
俺達はベンチに座って夜空を流れる。
天の川はキラキラしていて、とても綺麗だった。
「でも、私はやっぱり好きな人と一年に一回しか会えないのは嫌だわ。 できれば、毎日会いたいもの」
「それは俺もですよ」
「私の彦星はいつ、現れてくれるのかしらね……??」
そう言うと、雫さんはジーっと俺のことを見る。
天の川のように綺麗な瞳は、真っ直ぐ俺を見ていた。
「……雫さん」
「なに?」
「今日は、雫さんに言いたいことがあるんです」
「ん」
俺はゴクリっと唾を飲み、ドキドキしながら雫さんの顔を見る。
緊張して心臓はバクバクしているし、身体は焼けるように熱かった。
「雫さん。 俺は貴女に一目惚れしたんです」
初めて見た時、運命の相手を見つけた。
この赤い糸は繋げて、結びたいと思った。
「俺はもう、どうしようもないぐらい、貴女のことが大好きです」
もう俺は、貴女のことで頭が一杯です。
どうしようもないぐらい好きすぎて、貴女に対する想いが止まりそうにありません。
「だから、俺と、付き合ってください!!」
俺は貴女と一緒に居たいし、これから一緒に歩んでいきたいです。
俺は顔を真っ赤にしながら、雫さんに告白する。
真正面から雫さんの顔を見るのは怖かったけど、俺は逃げずに顔を見て想いを伝えた。
場に静寂が流れる。
それを破ったのは雫さんだった。
「勿論、返事はOKだよ。 私と、付き合ってほしい」
「……ッ!!」
俺は嬉しいさのあまり口角が上がり、下唇を噛む。
嬉しさや安堵、達成感などから、俺は涙を流しそうになってしまった。
「おいおい……泣きそうになるぐらい嬉しいのかい?」
「当たり前じゃないっすか……! 雫さんが恋人になってくれるんっすよ!? それは、どうしようもないぐらい嬉しいことっすよ!」
「ふふっ……そうやって好意を素直にぶつけられると、少し照れくさいね」
雫さんは顔を下に向けながら頬をポリポリと掻く。 髪から覗く耳は、少し赤かった。
「雫さん!!」
「きゃっ!!」
俺はあまりの可愛さに、雫さんを思いっきり抱きしめる。 雫さんの柔らかい身体の感触、落ちいた優しい香りが俺に届いた。
「雫さん……」
俺は雫さんの顔を見る。 月明かりの光に照らされる雫さんは、とても綺麗だった。
「……んっ」
俺は雫さんに顔を近づける。 雫さんの可愛らしい唇は、後少しというところまで来ていた。
しかし、俺の唇は届くことがなかった。
なぜなら——————————————
「ちょっと待った。 それは違う」
——————————————雫さんの手で、俺の唇は止められてしまったからだ。
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