共闘と競走

細胞分裂が始まるのは、たった一個の精子が卵子にたどり着いたからで、

数多いる同胞との競争に勝ち抜いたから目的を達成できたんだ、

と思い込んでいたけれど、違ってた。

実は結構な数がたどり着いていて、そのほとんどが卵子の細胞膜を破るのにバンザイアタックで討ち死にしてるらしく、そうして薄くなった最後の皮を偶然、破った一個が本懐を成し遂げているらしい。


その一個の気持ちになったらばきっと

「ここへくるまでに払った仲間の多大な犠牲を、俺は忘れない! きっと立派な人間になって下界へ降り立つことを、皆に約束する!」

で、仲間たちからしたら

「おう、お前は俺たちの誇りだ! その足でどこまでも遠く、俺たちの夢を運んでくれ!」

だろうなぁ、とかなんとか。(NR妄想)


賞を取るとかデビューするとか、すでにポイントを上げるとかも、

モチベーションにないなと言えば不思議がられ、

じゃあなんのために? と首を傾げられるこの趣味のカキモノ生活。

けれどこの無駄な一部始終も、たった一つが掴む栄光のための底上げ、

踏まれて乗り越える台になれていたならそれも悪くないよな、と思ってる。

なにせどうあがいてもほとんどが、このポジションを担うわけだし。

嫌気がさして諦めるより、

少しでも底上げるため手は抜けないぜ、と思ってる方が闘志もわいていい。

そう言う着眼点と発想で。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る