第25話 殺し屋とオーク退治

 やっぱり来たな殺し屋共。

 夜間物音がしたので、窓から外を見ると、イオとカリストが迎撃していた。

 だが、人数が多い。

 十人はいるだろうか。

 ドアのポリゴンが壊され、殺し屋達が入ってくる。

 壁に掛かっている剣が空を飛び、殺し屋に突き立てられた。

 これは剣の色々な動きのアニメーションを作り、AIを入れて作ったのだ。


 フライングソードって名前にしたら、侵入者に反応するようになった。

 まだまだ、壁には沢山の剣が掛かっている。


 ミサイルもAIを入れたら自動迎撃するようになった。

 ただ、ミサイルは使い捨てなんだよな。

 当たると大抵は消える。

 消えなくても動かなくなる。

 律儀にそんな再現をしなくても良いだろうに。

 当たるとパンチを食らったぐらいの衝撃があるから、その後にフライングソードが来ると避けられない。


「ふぁー、眠いや。子供の体で徹夜は無理だな。寝よう。バナナ、強敵が来たら起こして」


 少しうるさいが、眠気には勝てなかったみたいだ。

 すぐに眠りに就いた。


 朝、起きると、死屍累々。

 こいつらの懸賞金はいかほどかな。

 トラックを作り、死体を積み込む。


「盗賊の死体をもってきました」

「坊主凄いな。これをみんなやったのか」

「まあね。これでも覚醒者だから」


「待ってろ。すぐに手配書を見て賞金を出すから」


 ふふ、しめて金貨25枚。

 物凄く儲かった。

 もっと殺し屋こないかな。


 次辺りは覚醒者が来そうな気もするが、その時は家を消して岩メテオ攻撃だな。

 元気にマリーと一緒にギルドへ顔を出した


「お前、死んだんじゃなかったのか」


 ゼットが俺を見てそう言った。

 こいつが殺し屋を雇ったの確定。

 復讐リスト2番目に記載されました。


「お小遣いありがとう。お兄ちゃん」


 俺は甘ったるい声を出した。


「お兄ちゃんだと、気色悪い声を出すな。鳥肌が立つ」


 わざとやっているんだよ。

 イラつかせるためにな。

 こいつが剣を抜いたらその時が最後だ。

 フライングソードが首を刎ねる予定になっている。


「くそう、高い金払ったのに無能な奴らだ。この愚弟、もしかして案外やるのか。いや、きっと運が良いだけだ」


 心の声が漏れてまっせ。


「じゃ、行くから、お兄ちゃん」


 俺は依頼の中からオークの群れ退治を選んだ。

 村の畑に大挙して押し掛けて困っているらしい。

 村人では歯が立たなくて戦々恐々としているのだとか。

 畑の作物が無くなったら、今度は村人の番ではないかと思っているとの事。


 俺達はオープンカーに乗って村に駆け付けた。

 村人から話を聞いていると何やら表が騒がしい。

 馬車が停まっていて、片目の男と太った男が油断なく辺りを見回している。

 非常に嫌な予感がする。


「俺様が来たからにはもう大丈夫だ。俺様より先に来た冒険者がいるそうだが、そんな奴はキャンセルしろ」

「ご無体な」


「よお、お兄ちゃん」

「お前は愚弟。まあいいそこで俺様の活躍を見ていろ」

「じゃ、お手並み拝見」


 畑に行くと作物が荒らされ無残な状態になっていた。

 しばらく待つとオークが森から現れた。


「お前達退治しろ。いいなラストアタックは俺にやらせるんだぞ」

「へい」

「おう」


 片目の男と太った男が剣を抜いてオークに切りかかる。

 流石、傭兵だな。

 足を斬り、腕を斬り身動きできない状態にする。

 それをゼットがレイピアで止めを刺す。


 だがな、次々にオークがくるぞ。


「この数は捌けないぞ」

「撤退指示を」


 見るとゼットは何も言わずに、いち早く逃げ出していた。


「逃げるぞ」

「おう」


 傭兵達が逃げる。

 さて、俺の番かな。


「ディザ、撃っていいの」

「ああ、マリーやっていいぞ」


 マリーがライフルを撃つ。

 10匹ほどならそのうち片付くだろう。


「フライングソード、けん制しろ。イオとカリストは俺達を守れ」


 マリーのライフルの腕は上がっているようだ。

 僅かな時間で片が付いた。


 ユンボを使い、ダンプにオークの死骸を積む。

 俺達が街に帰るとゼットがギルドの買取所にいて待ち構えていた。


「俺様の獲物を横取りしたな。全部、俺様の物だ」

「何をほざいているのだか。フライングソード威嚇しろ」


 腰から剣が抜けてゼットの首筋でピタリと止まった。


「あわわわ。お前ら囮になれ」


 ゼットは腰が抜けて座り込んだ。

 傭兵達が俺達の間に立ちふさがる。


「フライングソード、鞘に収まれ」

「覚えてろ」


 捨て台詞を残してゼットはハイハイしながら去っていった。

 弱いくせにムカつく奴だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る