第3話
そこからお互いに遊びに行ったり、勉強したりと楽しい時間がすぎ、大学も早い段階で決まった。人生はこれからだって時にこれだ。
「全部、懐かしいなぁ……」
俺は電信柱によりかかり座った。汚れるとか気にかける余裕は俺にはなかった。雲の狭間から太陽が少し見える。
優花と別れなければならない。卒業直前で過度なショックを受けて欲しくない。あいつは元気で、大学、そしてその先を生きて欲しい。そのためにはやはり俺は枷にしかならない。でも、
「別れたくない……」
決断は早い方がいい。けど、決心できない。
俺は膝に顔を埋めた。太陽は今の俺には眩しすぎた。
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あれから二ヶ月、入院しなければならなくなった俺は優花に別れを告げなければならない。ついにこの日が来てしまった。
前夜の放射冷却のせいでめちゃくちゃ寒い冬のスコーンと突き抜けるような青空の日。俺は優花を呼び出した。付き合い始めたきっかけの場所の神社を選んだ。
「話って何?」
優花はいつもより硬い声で聞いてきた。
「別れてくれ」
俺は端的に伝えた。それ以上喋ったら泣きそうだった。泣きたいのは俺よりも優花なのに。
「なんで? 私なんかした?」
「いや、違う……」
「何かあったの? ねぇ!」
「ごめん」
ボロボロと優花が涙をこぼし始めた。俺にはどうすることも出来ない。
ズパン!!
頬を思いっきりぶたれた。ジンジンと痛む。
「最後の一瞬まで一緒にいたいって思うことは間違ってないんでしょ!? そう言ってたじゃん! それなのに!! それなのに……」
「ごめん」
「もういいっ!! ごめん以外の言葉を喋れないの!?」
「許してくれないのは分かってる。でも、許してくれ」
「うるさい! うるさいうるさいうるさいうるさい!!」
そう言って走り去ろうとした優花。しかし、階段の一段目を踏み外した。優花がゆっくりと倒れ始める。俺は手を伸ばし……
「間に合わなかった」
目の前には頭から大量の血を流している優花がいた。呼吸が浅い。救急車は既に呼んでいる。
「大丈夫か?」
大丈夫じゃないのわかってるだろ。
「すまん」
すまんですまねぇんだよ。
「患者を発見、頭部からの出血を確認……」
救急隊員が来た。俺は何も出来なかった。傷つけただけだった。こんなことになるなら最初から付き合ったりしなければ良かった。救急車の音がどこか遠くに感じた。
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