そらへ旅立った僕ら
國灯闇一
そらにいる僕ら
君と離れて何年たった?
千年、万年どっちだっけ?
いまはそんなことどうでもいいか。
人は僕らをゴミだって言うけど、春夏秋冬
初めて会った日のこと、君は覚えてるかな。
覚えてたらいいな。
この世に生まれ落ちた
『みんなであのそらへ行こう』
たくさんの人に見守られながら、僕らは旅立ちの日を迎えた。
いろんな声や音の渦に呑まれ、急に怖くなって足がすくみそうだった。
そんな時、君は僕の手を握って微笑んだ。
その手が熱かったこと、暗くて凍えそうなそらでもこの手に残ってる。
僕らは熱に背中を押され、そらへ飛び立った。
白い雲を突き抜け、青く澄んだ空より高く昇っていく。
いつしか声と音はやんで、気づいた時にはそらにいた。
そらから見下ろす故郷は綺麗で、輝いていた。
あんなに輝いていたなんて知らなかった。
先の
間もなく、僕らは離ればなれになった。
別れてもなお、みんなとの思い出を忘れたことはない。
音もないこのそらでも、僕らはまだ生きてる。
僕の片割れも、きっとこのそらで生きてるはずだ。
みんなと分かち合った記憶を乗せて、そらを漂っている。
人は僕らをゴミだって言うけど、ゴミなんかじゃない。何度だって言うさ。
君との出会いを、ゴミだなんて言いたくない。
僕らがいた故郷の遥か上で輝いていた光は、ここにあった。
僕らはきっと、あの光のようになれる。
散らばった無数の光の1つに。
いくつもの光に囲まれながら旅をしてきた。
長い長いこの旅の話を、君とできたらいいな……。
僕は優しい記憶を胸に抱き寄せ、温かい光に包まれた。
そらへ旅立った僕ら 國灯闇一 @w8quintedseven
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