隣の椎名さんは距離感が近い!(仮)
夜空 星龍
第1話 雨の日にカギを忘れる……。そして、隣のお姉さんに会う
「最悪だ……。こんなことなら、朝、ちゃんと確認をして家を出るんだった……」
さかのぼること、八時間前。登校前の自宅。
「
「は~い」
俺は寝ぼけた頭で返事をした。
机の上に置いてある置時計に目をやると、時刻は八時を迎えようとしていた。
やばい! このままだと、遅刻してしまう!
俺は、急いで起き上がって、学校に行く準備をして自分の部屋を出た。
「お母さん、おはよう! 遅刻しそうだから、先に行く!」
「ちょっと、カギはちゃんと持った?」
そんなお母さんの確認を聞かずに俺は急いで靴を履いて玄関を飛び出した。
で、案の状、カギを忘れて俺は今、自宅の前で中に入れない状態でいる。おまけに天気予報も見てなくて、傘も持って行かなかったので、雨に打たれてずぶぬれだった。
「最悪だ……」
俺はもう一度その言葉を呟いた。
さて、どうしたものか。近くにネットカフェのような場所もない。ファミレスはあるけど、この状態だしな。お店に迷惑をかけるわけにもいかない。
「はぁ~。大人しく、お母さんの帰りを待つしかないか……」
俺は風邪をひく覚悟で、自宅の前に座り込んで、お母さんの帰りを待つことにした。
今日は遅くなるって言ってたよな。いつもなら、十七時に帰ってくる。遅くなるって言うときは二十時くらいだ。
てことは、あと、四時間以上もあるのかよ!
こんな秋の肌寒い天気の中で待たないといけないなんて、しかも雨も降ってるんだぞ! こんなの風邪ひかない方がおかしいだろ!
覚悟を決めるというか、半ば諦めるように俺はため息をついた。と、その瞬間、頭上から女の人の声が降ってきた。
「どうしたの? そんなところに座り込んだりして」
顔をあげて声のした方を見ると、大学生くらいの美人の女性が立っていた。キリっとした瞳が俺を見下ろしている。思わず、その瞳から顔を逸らすと、目の前には短いスカートからスラっと伸びた長くて真っ白な足があった。
俺は顔をどこに向ければいいのか分からず、隣の家のドアノブを見つめることにした。
そして、ボソッと呟いた。
「その……カギを家の中に忘れてしまって」
「それは、災難だったね」
「まあ、でも自分が悪いんで、お母さんが返ってくるまで、待ってます……」
「お母さんは何時に帰ってくるの?」
「たぶん、二十時ごろだと思います……」
こうなったのは、自業自得だ。お母さんは確認してくれたのに、それを聞かずに学校に行った自分が悪い。
「ふ~ん。二十時か。じゃあさ、ちょっと私に付き合わない?」
「え……?」
その女性は腕につけている高そうな時計を見てそう言った。俺の頭にはもちろんはてなが浮かんでいた。付き合うとは……?
俺が困惑した顔でその女性のことを見上げていたら、ニヤッと笑って言った。
「あはは、安心して! 付き合うって言うのは話し相手になってほしいな~ってことだから。一人暮らししてると、寂しくなるときってあるじゃない。特に私は仕事柄、いろんな人と話すから一人の時間が苦痛で。仕事まで寝て過ごそうかと思ってたんだけど、ちょうどよかったわ! 私の話し相手になってよ。そんな状態じゃ風邪ひいちゃうよ! お風呂も貸してあげるから! 私の部屋に行こ!」
その女性は指パッチンをして俺の手を取って立ち上がらせると、そのまま腕を絡ませてきて、無理やり連れて行った。
何がちょうどいいのか分からないんですけどー!? というか、この人めっちゃ距離感が近い。普通は初対面の異性に腕組みなんてしないだろ!? しかも、服の上からでも分かる、大ききて柔らかなふくらみが俺の腕に触れているんですけど!?
俺はますます困惑することになった。そんな、俺をよそに、その女性はカギを開けて自分の家の扉を開いた。
て、隣の家かよー!!!!!!
「そう言えば、名前聞いてなかったね。私は
「俺……僕は
「正輝君ね! よろしくね!」
「よ、よろしくお願いします」
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『クラスメイトに超絶美少女がいるのだが、なぜか俺のことを餌付けしようとしてくる』
『お隣の天使親子が可愛すぎる!?(仮)』
『美少女にスイーツをあげたら、ねだられるようになってしまった!?(仮)』
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