闇堕ち属性が好きなのに、転生先にはキラキラ王子しか居ないため萌えの供給が足りません!!

花見 はな

第1話 可愛らしい姫君の秘密


「おぎゃぁ、おぎゃぁ·····」


青空が広がり、穏やかな風が草木を撫でる中小さな生命の産声が響き渡る。

想像を超える難産を乗り越えた母親である女性は涙ぐみながら産まれた我が子を愛おしく見つめ、周りにいる親族達も喜びをあらわにしていた。

そんな中こんなにも注目を浴びているのにスヤスヤと母の腕の中で眠りに着く赤子は誰にも言えない秘密をもう抱えていたのである。

産声を上げてから、3年が過ぎあの時産まれた赤子は見た目は年相応だが心だけは立派なレディになっていた。


「はぁ、暇だわ·····」


まだ3歳児な為やれる事も少なく、家にある温室の中で暇を持て余しながら自分の置かれている状況を整理する。

まず私が住んでいる国『エルシア王国』は決して広い国とは言えないながらにも戦争も無く、平和な時が流れる国である。だが平和な国であるものの昔から貴族や平民と身分が分けられていて、私が産まれた家は公爵家の称号をもつ『アンハルト家』。国王一家と遠縁であり、エルシア王国の南に位置する『ルイーズ地域』を取り締まっている。

そんなアンハルト家の長女として産まれたのがこの私、『リーリア・アンハルト』。アンハルト家の血を継ぐ証しと言われている、淡い赤色の瞳を持ち可愛らしく元気な姫君で皆からは天使と言われているが·····。


(実は天使の中身が欲にまみれた16歳だと言うことは絶対にバレてはいけない!!)


そう可愛らしく無邪気な3歳児リーリア・アンハルトの人格は、 不慮の事故によりわずか16歳で死んでしまった『桜木なお』である事は誰にも言えない秘密である。

仮に私が16歳の女子高生だったと言っても周りの人には信じてもらえないだろうし、何よりこの世界ではリーリア・アンハルトとして命を授かっているのでなおとして生きていくのは違うと思っているから誰にも言うつもりは無い。

だけど私には禁断症状が出るほどの趣味というか性癖があり、それが今1番の悩みなのだ。


(闇堕ち属性のボーイ達がヨダレが出るほど大好きなのに·····)


「何故この世界には闇堕ちボーイが居ないのか〜(泣)」


(やば、感情が高まり過ぎて叫んじゃった·····)


そう、16歳を謳歌していた時はオタク友達と色々語り自分の性癖とトコトン向き合い楽しんでいたのだ。そんな中私がとてつもなく萌えるのが闇堕ちボーイだった·····。

なのにこの世界にはキラキラ光王子様系のボーイ達しか居ない、性格も爽やかだし顔面は国宝級なので欠点が無い。だがしかし、私の求める推しは欠点があるからこそ良いのであってキラキラ王子は私の世界に要らないため退屈な日々を過ごしている。


(まぁ、周りから天使と言われている3歳児の中身がこんなんなんてバレたらヤバいよなぁ·····。)


退屈な日々だけどある意味これが1番秘密がバレないと分かっているので、文句は言わない。

 

(はぁ、萌えが足りん‥。)








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