第2話

職員室で。

俺は怒りに震えていた。

冤罪なのに随分な処分が下された。

理事長直々に


「退学処分を言い渡す」などと言われ

目の前が真っ白になった。


「そんな...!!」


「俺、カンニングなんかしてないのに...」


「別にそれだけじゃない。

タバコを吸っていたって噂もあるし、

他校の女子生徒に暴力を振るったって話も聞いたからだ」


「目撃情報も多数あるし、被害者の女の子

自ら、おまえの名前を挙げて、私の元に訪れ、直々に

厳しく処分(退学などに)してください」と泣きながら言ったんだ」


「俺、そんなことしてません!!」


「タバコ?女の子に暴行?」


「全く以って身に覚えがないです!」


反論したが、聞いてくれなかった。


俺は職員室を後にして、

放課後、いそいそと帰ろうとしてる藤島を

下駄箱のところで呼び止めた。


「何だって俺のことはめたんだよ...!?」


「こっちはよくわらないうちに、退学処分を言い渡されてさ...!!」


「ああ...。それはおめでとう。

俺的には狙い通りってとこかな...」


藤島は不敵な笑みを浮かべて、

俺に近寄ってきた。


そして言う事には。


「いいか、この高校の一学年に超絶イケメンは俺ひとりでいい。

おまえは俺と顔や中身が似てる。

その整った目鼻立ち、そして、背丈、

仕草、俺とキャラが被っているのが

そもそも気に食わねぇんだ」


「それによ、俺より頭がよさそうなところとか

気に食わねぇ...!先生の質問にすらすら答えちゃうあたり、マジでムカつく!」


「だからな、先日、俺、他校の女子生徒にナンパして断られたから、そいつのこと、頭にきて突き飛ばしちまって怪我させたんだけどよ、

俺とナリが似てるおまえに、

罪を被ってもらったんだ」




「あとなー、タバコも吸ったのは俺だけど、

おまえが吸っていたことにした」


「被害者の女と、タバコの現場を見てた

奴に金を握らせてよ、俺の企み通りに

動いてもらったんだw」


父親がどっかの大企業の社長だとかで、

ボンボンだって噂はあった。


お小遣いも月20万、親からもらってるって

話も耳にしたことがあった。


「すげぇよな。金の力ってのはさ。

人を簡単に思い通り動かすことができるんだ」


藤島は声高らかに笑い、


「じゃな!俺はこれから塾に行かなきゃだからさ」


と捨て台詞を吐いて俺のまえからそそくさと

居なくなったのだった。


俺は。


この時。


携帯の録音機能をオンにしておけばよかったと心底思った。


でも、そんな用意周到なことは

していなくて、


クソォッ....!!


って心の中で悔しがることしかできなかったんだ。











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