第15話 アイドルの深淵

「アイドルって、誰でもなれるのかなー。」

『なれるわけないでしょ?』

「でも、あんまり可愛くないアイドルとか居るよね?ほらAKB48とかに。」

『その話題は良くないかなぁ。パンドラの箱開けるようなものだよ。』

「でも、あれ?この子は可愛くないなー。って思う時あるじゃん?」

『奈緒ー。踏み込んじゃいけない領域だよそこは。』

「でも!ちゃん美優も思うでしょ!あれ?この子より、ウチで育ててる苔の方が可愛いな!…って。」

『苔に負けるアイドルって…。』

「アイドルってみんなダイヤモンドのようにキラキラ光ってると思ってたの。でも、アイドルだって不祥事やらかすし、ウンコするんだよ?」

『禁止区域にどんどん踏み込んでいくー。泣』

「最初は私だってアイドルはウンコしないし、お尻から出るのはアポロチョコだと思ってたよ?」

『それも無理があるわね。』

「でも、不祥事やらかして女の命と呼べる髪の毛を剃って坊主にするアイドルだって居るじゃん?」

『内容が具体的すぎるよね?』

「アイドルだって男遊びするしYOASOBIもするの!」

『何でそこローマ字にしたの!?』

「沈むように 溶けてゆくように 二人だけの空が広がる夜に。」

『今その歌を歌うと意味合い変わってくるでしょ!』

「可愛いアイドルなんて一握りでしょ?しかもプロデューサーと寝て世に出してもらうの。」

『奈緒、今日止まらないわね?ブレーキ付いてないの?』

「前世が詐欺師だったもんでね。口が軽いの。」

『色々ツッコミたい所あるけど、詐欺師は多分口軽くないわよ。』

「アイドルって、恋愛禁止とか言うけど、みんなYOASOBIしてるからね?」

『ローマ字の必要ないでしょ?』

「そりゃぁ恋愛禁止っていうけどさ!免許みたいなもので、事故を起こさないって意思表明みたいなもんでしょ?それでも事故る人は事故るし。人間である以上、理性というアクセルを制御できなくなるじゃん?」

『何で今日は饒舌なの?本当に詐欺師みたいな口数よ?』

「恋愛禁止って言うくらいなら、一度スキャンダル起こしたアイドルは追放すべきだと思うんだよね。だってみんな新車だから応援できるのに中古車になったアイドルに価値があると思う?」

『中古車ならではの良さがあるじゃない!』

「良さって何?誰かに傷つけられてるのよ?そりゃモーターショーで出た時はみんなテンション上がったけど、傷ついた車を欲しいとは思わないじゃん?」

『うっ…。』

「スキャンダル起こしても生き残れるアイドルって何なの?メーター振り切って、何でもするバラエティアイドルへ転身するって事?」

『確かに、不祥事起こしてバラエティアイドルになって、過去の不祥事を笑いにするアイドルとかいるけど。』

「ね!そこだよ!時代は変わったよね?アイドルって神聖なものだと思ってたのに。」

『奈緒、今日どこまでいくの?アクセルベタ踏みしすぎだよね?』

「人気のないアイドルがさ、不祥事起こして知名度広げてバラエティアイドルとして売れ出すのとかさ。当たり屋みたいなもんじゃん?自作自演で自分の知名度上げようとしてさー。」

『この話いつまでするの!?』

「この世界から悲しみが無くなるまで。」

『じゃあ無理ね。』

「アイドルって遠いところに居るイメージだったのに。なんか時代は変わったよね?」

『バラエティ番組でアイドルを観過ぎてゲシュタルト崩壊してるわね。』

「でもアイドルってブランドだよ!」

『JKだってブランドじゃない。』

「ユニクロとしまむらくらい違うじゃん!」

『今日どれだけ敵を増やす気なの!?』

「私ね。アイドルに憧れてたの。」

『死んで転生しても手の届かない世界だから?』

「違うわいっ!来世は分からないでしょーがぁぁっ!!!」

『前世で詐欺をした呪いで今世はそんな魅力ない顔になったんでしょ?』

「それだ!」

『納得しないでよ。』

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