第1話 おしゃべり開始
「私ね、思うんだ。桃太郎っておかしいよね?って。」
『先人の方が散々いじり倒した領域に何故踏み込むんだ。しかも初回で。』
「美優ちゃん!人間ってね、不思議な生き物でね。とんでもなく臭いものほど嗅ぎたくなるじゃん?」
『でも、嗅いで後悔するじゃん!?』
「人間ってね、バカな生き物なんだよ…。」
『学習しようよ…。せめて私達だけでも。』
「学習しないのが、良さじゃない?」
『うん。ごめん。共感できない。』
「学習しないのが、人間の良さやん?」
『なんで関西弁?私達神奈川県出身だよ奈緒?』
「私ね、思うんだ。桃太郎っておかしいよね?って。」
『え、テイク2なの?撮り直し?』
「私ね、思うんよ。桃太郎ってありえへんって。」
『私は奈緒の関西弁の方がおかしいと思うよ。』
「美優ちゃん!誰もが踏み込んだ領域に、でっかい足跡をつけるのが私達の役目じゃん?」
『どうせなら、誰も踏み込んでない領域に足跡つけようよ。』
「美優ちゃん!いや、ちゃん美優!」
『ど、どうしたの。そんな張り切って?』
「私は問いたい!」
『うん…。』
「私は対対和。」
『うん、それは麻雀の役だね。今関係ないよ!』
「桃太郎ってさー、誰が川にあんな大きな桃を流したのかなーって…。ね?」
『いや、ね?って言われても…。いきなり話戻されても脳の処理が追いつかないって。』
「まず、桃の中に子供が入ってるんだよ?そうなるとなんで桃に子を詰めるのかな?そもそも誰の子なんだろうね?」
『待ってよ!畳みかけないでよ!いきなり何のスイッチが入ったの!?』
「桃太郎の積み上げられてきた謎をぶっ壊したくなったのだよ。ふっふっふ。」
『スキマスイッチが入ったんだね!?』
「ちゃん美優、そもそもおかしいと思わないかい?」
『何が?今日の奈緒のやる気が?』
「何だとオラァァァァッ!!!」
『情緒不安定過ぎない!?』
「桃太郎ってさー、誰が桃に子を入れたんだと思う?」
『うーん。神様?』
「究極そうだけど!違うんだよちゃん美優!」
『いや、別に誰が子を桃に詰めたとか気にしちゃダメじゃない?』
「桃太郎に込められた本当のメッセージに気づかないの?ちゃん美優!?」
『メッセージ???』
「あと、いつの間にか美優ちゃんの事をちゃん美優って呼んでることにそろそろ突っ込んでよ!!!」
『後で、グーで殴って黙らそうと思ってたけど。』
「なんておっかない事を計画してるの!?私の頬を殴るなんて!」
『いや、おでこにしようと思ってたけど。』
「本気で意識飛ばそうとしてませんか!?」
『で、桃太郎に込められたメッセージって何のことよ?』
「なんだいちゃん美優〜。実は気になって気になって仕方なかったのかぁ〜い?」
『おでこ2発だね。』
「すみません。」
『で、桃太郎電鉄に込められたメッセージは?』
「あ、ゲームの事じゃないです。御伽噺の方です。桃太郎が何故桃に入れられてたかの謎なんだけどね。」
『うん。』
「実は、桃太郎は鬼の子なんだよね。」
『うん?』
「実は、桃太郎は鬼の子なんだよね。」
『聞こえてなかった訳じゃないよ?理解できなかっただけだよ。』
「鬼は強くなり過ぎた。暴力で全てを支配してきた鬼だった。そして鬼を倒す者も居なかった。でも、鬼はもう世界に飽きてしまった。だから、自分達を倒せる者に現れて欲しかったの。死に場所を鬼は探していたの。」
『へぇ、だから鬼は生まれたばかりの子を桃に詰めて人間の住む山の川に流したのね。』
「そう!小さい頃は多分角も短かったからおじいさんとおばあさんは気づかなかったし、知らずのうちに鬼を育ててたの!」
『その恩返しで、桃太郎(鬼)は世界を支配する鬼を倒すべく、鬼ヶ島へ向かったんだね。』
「そうだよちゃん美優!そして場所は鬼ヶ島!ついに桃太郎(鬼)は鬼を倒すのです!パンパカパアアアーン!そして、そこで明らかになる事実。まさか、自分も鬼だったなんて!?」
『あ、そこで気づくんだ桃太郎。』
「なんてことを!世界を脅かしていた鬼と自分が同じ種族だったなんて。ショックを受けるもおじいさんおばあさんの元へ帰る桃太郎。」
『まぁ、鬼退治完了報告はしないとね。』
「ところが、頭に生えてる角がバレて、鬼だということが世間に広がり。間もなく桃太郎は人間の手によって処刑されました。」
『うん?』
「桃太郎は人間の手によって処刑されました。」
『いや、聞こえてなかった訳じゃないから2回も言わないで。』
「本当の鬼はね、何も考えず判断してしまう人間のエゴなのかもね。」
『いや、どんな終わらせ方よ!メッセージってそれ!!!?』
「ちょっとテンション高いってちゃん美優〜。はしたないなぁ〜。」
『そりゃ後味最悪な話聞かされたらこうもなりますよ!!!何今の話!ビックリしたよ!』
「私は後でおでこ2発殴られる事にビックリだよね。」
『ちょっとちょっと!デッドエンドとは思わないじゃん!』
「人間ってね、バカな生き物なんだよ…。」
『あれ?最初聞いたぞ、その台詞!』
「じゃあやり直す?この話?」
『やり直すって、どーいう事よ?』
「私ね、思うんだ。桃太郎っておかしいよね?って。」
『テイク3!!!?』
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