君が巣立つその日まで
勝利だギューちゃん
第1話
「疲れた」
帰路に着く。
俺の会社は、最寄り駅から電車で30分。
最寄り駅から、自宅までは徒歩10分。
まあ、平均だな・・・(と、思う)
ちなみに、俺は実家暮らし。
もう30近いのに、情けないと思う。
でも、実家には両親も家族もいない。
両親は、海外で生活している。
喧嘩したわけではない。
定年したら、夫婦で海外で余生を過ごすのが夢だったみたいだ。
妹は結婚して、これまた海外。
なので、実家できまま(ではないが)な一人暮らしをしている。
そして、自宅までの途中に公園がある。
フィクションだと、公園に家出した女子高生がいて、
連れて帰って助けて、仲良くなる・・・なんて、展開だが、そんなことあるはずもなく・・・
まあ、あっては犯罪になるので困るが・・・
今日もいないのを確認して家に着く。
すると家の前に女子高生がいた。
幻でも幽霊でもない。
女子高生。
「もっと現実ではありえないことが、あった」
そう思い、声をかけた。
「あのう、うちに何か御用ですが?」
まあ、こう声をかけるのが定番だな。
「あっ、もしかして、お兄ちゃん?康則(やすのり)お兄ちゃん?」
「そうですけど・・・君は?」
誰だろう・・・この子。
記憶を紐解く。
でも、わからない。
僕には、高校生くらいの女の子の親戚はいないはず。
ただ、8歳くらいの女の子のいとこはいる。
名前は、香耶(かや)ちゃん。
もう、10年会ってないから、今は18歳か・・・
可愛く成長したかな・・・
会いたいな・・・
えっ?
そうだ。
人は生きている限り歳を取る。
あまりに当たり前すぎるが・・・
「香耶ちゃん」
「うん。お兄ちゃん、会いたかった」
香耶ちゃんは、抱きついてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます