第4話 いいニュースと悪いニュースがある。どちらを先に聞きたい?
「よし、ミリア。とりあえず武器と盾見せろ」
「はい、グレイマン師匠!こちらに!」
宿屋の前でのやり取りから少したち、俺たち二人は宿屋三階の自室に入って床に座っていた。
とりあえず、ミリアから奪い取った月謝+αから宿代を払ったので最低でもこれから一ヶ月は宿無しの憂き目は回避された。
……だが、無駄に労働をさせられた二日分の代償は、絶対にこいつに払わせる。絶対にだ。
俺はそんな鋼のごとき決意を秘めて、のろまな弟子に鋭い視線を送っていた。約定を違えた者がどうなるのか、こいつには身をもって思い知らさなくてはなるまい。
しかし、それとは別に師匠らしいこともしておかなければいけない。月謝を受け取っている手前ということもあるが、俺とミリアは基本的に二人旅なので、こいつがポカをやらかせば割りを食うのは高確率で俺だ。
実際、師弟関係を結んだ直後は、ミリアのアホ未満の行動のせいで、何度か死線をさ迷った。あのときのことは全て、美しい記憶の宝石箱に鍵をかけて封印した。そして、それは恐らく二度と開くことはないだろう。
話がずれた。
というわけで、俺はまずミリアが課題で使用した武器の見聞を行うことにした。武器を見れば自ずと使い手の技量がわかる。それは戦いにおいては重要なファクターだ。だから、自分の武器をひけらかすような奴は早死にする。手の内はなるべく秘めるべきだ。
「ふーむ、ふむふむ……」
俺はまずはショートソードを手に取る。刃こぼれ、刀身の歪み、刃以外の刀身についた傷や欠け、鍔の損耗、握りについた手垢。使い手の力量は武器の至るところに宿る。ゆえに見るべき箇所は多い。
「なるほど、なるほど……」
それが終わったら今度は盾を見る。全体の歪み、傷の位置、深さ、偏り等を中心にこちらも丁寧に確認していく。
「オッケー、大体分かった」
見るべきところは多いが、ポイントさえ把握していればそこまでの時間はかからない。早々に検分を終えた俺が剣と盾を置くと、それを見たミリアが弾かれたように顔を上げる。
「マジですか師匠! では、一番弟子のソロ初陣の評価を厳しく、でも優しくお願いします! あと、できれば褒めてください! 私は褒められると伸びるタイプですよ!」
「自分で言うかそれを………まあいいか。とりあえず、まずは……」
「まずは!?」
俺からの言葉への期待にミリアの目が輝いて、その体が前のめりになる。
まぁ、ムカつくからこいつの思い通りには決してしないが。
「ダメ出しからいくわ」
「へぎょー!? 何故ですか師匠!?」
おおよそ人生で今までも、そしてこれからもこいつの口以外から聞くことは無いであろう謎の叫び声を発して、ミリアが前のめりに倒れ込んだ。
俺がダメ出しを先に持ってきたのは半分嫌がらせだが、もう半分はちゃんと合理的な理由がある。嫌がらせの部分は省いて、俺は合理的な部分のみを説明してやる。
「いや、だってお前、ダメ出ししたらへこむ上に、それを後々まで引きずるだろ」
「た、確かに!」
「だったら、美味しい部分を後に残しておいた方が、後味スッキリで終わるだろ。違うか?」
「その通りです師匠! さすが師匠、冴え渡る知性!」
「……………」
正直、こいつと付き合っていればすぐにこいつの特性は分かる。こいつはアホみたいに単純だからだ。
だから、この程度のことで他の奴に知性だとか言われると、逆にバカにされたように感じるが、こいつは底抜けのアホだ。そこにバカにする意図はないと断言できるので、優しい俺は黙ってやった。
………その分、ダメ出しは辛口にするけどな。
「じゃ、まず最初のダメ出し。剣のコントロールが下手」
「うぐっ……と言いますと?」
ダメ出しに怯みつつも、その意図を掴みきれずに首を傾げるミリアに対して、俺は再び剣を取るとその刃の刃こぼれを示す。
「よく見ろ。……違う、誰が俺の顔を見ろなんて言ったアホ。剣だ、剣。お前の剣、刃こぼれがガタガタで規則性がない。コントロールができる奴はどこで切れば一番威力が出るか、どこで受ければ防ぎ易いか剣のスイートスポットを知ってるから、刃こぼれはそこに集中する」
「な、なるほど!」
納得したミリアがポンと手を打つ。その姿にはへこんだ様子はなく、むしろまだ余裕すら感じられる。
こいつと出会った直後の、これよりまだ甘い指摘でもこの世の終わりのような表情をしていた頃から比べると随分成長したものだ。
心の強さは肉体の強さを左右する。そう思えばこれはいい傾向だと言える。
この分なら、まだダメ出ししても大丈夫だな。
それでも求める水準には程遠いので、俺はどんどんダメ出しをしてミリアのメンタルを削ることにする。
これは別に俺がサド野郎だからではない。弟子として俺と組むことを選んだ以上、こいつにはさっさと成長してもらわなくてはならない。それが多少荒っぽい手段であってもだ。
「じゃあ、次いくぞ。盾の外周で敵の攻撃受け過ぎ。盾で攻撃を受けるときは、基本は中心部で受ける。中心で受ければ、腕を支点にして攻撃を押し返したりすることもできる。外周で受けたら支点から遠いから、最悪の場合は梃子の原理で押し込まれる。外周は攻撃を弾いたり、反らしたりする
「目的に応じた使い分けが大事ということですね!」
今度はダメ出しの意味をちゃんと理解して返事をしたミリアに、俺はゆっくりと頷いた。
「そういうこと。料理で肉の塊を切るのに果物ナイフ使うやつはいないだろ? 疲れる上に道具もすぐにダメになる、それと同じだ。料理で死ぬやつはいないが戦闘なら死に繋がる要素だ、気を付けろ」
「はい!」
ミリアは元気よく返事をする。なんだか俺が思ったよりも全然タフになっている。なら、それに合わせてもっとぼこぼこにするだけだが。
ということで、俺は最後に取っておいたダメ出しポイントを、ここで容赦なく投入することを決める。
「んで最後、そもそもお前盾をあんまり使ってないだろ」
「ぎくぅ!? な、何故それを!?」
俺が三つ目の指摘をした途端、先程までと違いあからさまにミリアの態度が変わった。
なるほど、ここがこいつの突っ込まれたくなかったところか。
恐らくここは、今回の冒険でミリアもあまり上手くできなかった自覚がある苦手な部分だ。
しかし、命懸けの戦闘で苦手だの何だのとは言っていられない。それを克服しなければ、待っているのは確実な死だ。こいつにはもっと多くのことを学んで、せめて俺の足を引っ張らないレベルには成長してもらわなければならない。
だから俺はメンタルを削るのと合わせて、ガンガンその部分を指摘していく。一石二鳥の合理的な作業だ。
「俺が分からんとでも思ったかこのアホ。剣に比べて盾の損耗が少なすぎる。そして、剣を見たら刀身の腹に点のような傷が多い。一角兎の角を捌いた時の傷だな」
「お、おっしゃる通りです」
正鵠を射た指摘に縮こまっていくミリアに更なる追撃を放つ。
「お前の戦闘スタイルの場合、剣は攻撃、盾は防御って役割が振られてるんだから、咄嗟の時や次の攻撃との兼ね合いで剣で受けるのが有利な時以外は、攻撃は盾で受けること。剣で受けていざ攻撃となったときに壊れたりしたら洒落にならん」
「か、返す言葉もございません。がくっ!」
そう言い残して、ミリアが床に芝居がかった動きでばたりと倒れる。ご丁寧に痙攣したふりまでしている。無駄に芸が細かいのが癪にさわる。
…………結構余裕あるな、こいつ。褒めるの止めるか」
「ええ!?褒めてくださいよ師匠!」
「おっと、口に出てたか。うっかりうっかり」
「ししょ~、ひどい~!」
今までの余裕が一転、涙目になるミリア。どうやら、俺から褒められるというご褒美が待っていたことがこいつのメンタルを保つのに一役かっていたらしい。通りでよくダメ出しに耐えていたわけだ。
……まあ、仕方がないから褒めてやるか。
意図的に褒めないと褒める機会少ないからな、こいつ。
俺が思っていたよりもメンタルが成長していたわけではなかったことに少しがっくりしたが、最初の約束を反古にするのもよろしくないので、俺は当初の予定通りミリアを褒めることに決めた。
「仕方ないな、それじゃあお待ちかねのお褒めの言葉タイムだ。心して聞け」
「ぎゃー!! 待ってました!!」
「うっさい! 静かにしろ! やめてもいいんだぞこっちは!」
「…………」
「い、いきなり静かになったなお前……」
騒ぎ始めたミリアを嗜めた瞬間、人形のように固まったミリアに少し動揺したが、気を取り直して俺は一息にミリアを褒める。
「まず、太刀筋が真っ直ぐだ。刀身の歪みがないのが何よりの証拠。次に、握りが安定してるな。手垢がまだらになってない。握力が伸びた証拠だ。後は盾のコントロールな。受ける位置は間違ってるが、傷が同じ箇所に集中してる。剣と違って受けやすいスイートスポットが意識できてる。後はこれを修正して、できるだけ中心部で受けれるように矯正しろ。以上!」
そして、褒め言葉を言い終わった瞬間、途中から嬉し泣きしていたミリアが俺の胸めがけてタックルをかましてきた。
「あ、あ、あ、ありぎゃとうごしゃいましゅうう!! 師匠愛してる!! 好き!!」
「うわっ!? 涙と鼻水まみれで近寄るな、汚いだろ!」
汚れた顔面で汚い突進をかますミリアを避けると俺は再びベッドに腰を下ろす。
「んじゃ、次。採ってきた一角兎の素材見せろ」
「ふぁい! 分かりました師匠! ずびー!」
ミリアは服の袖で顔を拭いてから、背嚢から素材を取り出し始める。
…………あの袖には絶対に触らんぞ。
そう固く決意する俺の前に、ミリアが両手にいっぱいの素材を差し出した。
「師匠どうぞ!一角兎の角、前足、毛皮です!」
「よしよし。じゃあこれは見ながらその場で評価していくな」
「お願いします!」
俺の評価を待って畏まるミリアの前で、俺は無造作に一角兎の角を一本手に取った。
「まず角だが………いいんじゃないか。というか、かなりいい。先端は折れたり欠けてないし、頭蓋骨の根本までちゃんと採れてる。折らずに戦った手際も良いが、解体もちゃんとできてる。花丸をやろう」
教本通りの見事な手際を手放しで褒めてやった俺だったが、意外にもミリアは喜ぶことなく驚いた顔で後ずさった。
なんだこの反応? なんか変なことでも言ったか、俺?
ミリアの妙な反応をいぶかしんでいると、今度はミリアが心配そうな表情で俺の腕にすがり付いてきた。
「し、師匠? もしかして師匠、明日辺りに死んだりしますか?」
「死なねーよ!? 折角褒めてるのに、唐突に俺のこと殺そうとするなよ!?」
「だ、だって師匠が文句なしで私を褒めるなんてあり得ない! 絶対に脳とかの病気ですよ!」
「お前、俺のことなんだと思ってるんだ? あら探しの達人か? 悪いところがなければちゃんと褒めるわ! あと、さっさと腕を離せアホ! 鼻水が着くだろ!」
怒った俺が腕を振ると、ミリアは「ぎゃー!?」と叫んで部屋の壁まで吹っ飛んでいった。
…………まったく、少し成長したと思って褒めたらこれだよ。
この辺りの察しの悪さがこいつがアホたる所以なんだろうな。
ミリアのアホっぷりに思わず頭を抱えながら、俺は次の検分のために一角兎の前足を手に取った。
「まあいいよ。次、前足。………これもよし。一角兎は前足で薬草を掘るから、そこだけ毛の色が変わって薬効がある。これはちゃんとその部分だけを切ってる。合格!」
「ひゃー! 師匠が私を褒めちぎってますよ! これは明日は雪ですね!」
「………お前、人の話聞いてた? ねぇ?」
褒められて喜びながら無自覚に俺のことを煽るミリアを見て、俺はこめかみに青筋を浮かべた。
………こいつ、最後の毛皮でミスってたらマジでとことん追い詰めるわ。じわじわと真綿で首を絞めるようになぶってやるぞ。
そんな後ろ暗い思いを胸の内に宿して、俺は最後に残った毛皮を手に取った。
「んじゃ最後に毛皮! ナイフの入れ方よし! 一番大きく毛皮が使えるようにできてる。肉の削ぎ取りよし! 肉が残ってるとそこの部分が腐ったりして劣化するからな。で、最後に毛皮の質なんだが………」
俺は毛皮の表面を撫でる。
そして気づく。微かな違和感。
「………ミリア、質問いいか?」
「なんでしょう、師匠?」
「お前、もしかして兎捕まえるときに《
「うぇ!? えーと、えーと…………」
俺の質問であからさまにミリアが狼狽え始める。《加護》を使ったとは口にしなかったが、その反応が全てを物語っていた。
それからしばらく待ったが、質問に一向に答えようとしないミリアに対して、俺はベッドから立ち上がると、しゃがんでミリアと視線の高さを合わせる。
俺と視線が合ったミリアが、少し怯えた表情で後ずさる。
それを見た俺は、できるだけ優しい声を作ってミリアに話しかける。
「ミリア、このことで俺は別に怒らないから正直に答えろ」
「でも………」
それでも未だに言い淀むミリアの肩に、優しく手を添えて俺は言葉を重ねる。
「このことは、話さずに隠している方が俺は怒る。だから言うんだ、ミリア」
俺が真っ直ぐな目でミリアを見ると、彼女はようやく観念したように口を開いた。
「……うぅ、そうです。七匹は剣で倒したんですけど、一回三匹一緒に出たことがあって、絶対に逃がしたくなかったから、その時だけ《加護》を使って倒しました」
「なるほどな」
状況は分かった。正直に言えば、こいつの《加護》の使い方は正しい。
《加護》は人に与えられた切り札だ。ここぞという場面でそれを切らないのは、宝の持ち腐れというやつだ。
◇◇◇
そもそも《
《加護》というのものは、人類が探求の果てに見いだした人類の可能性のひとつだ。
その昔、人類が悪魔に虐げられていた時代があった。その時代の人類は《加護》を知らず、悪魔には人にはない《
魔力を使って超常の現象を引き起こす《魔術》の力は強大だった。
人類は、時たま現れる《
しかし、そんな苦悶の日々の中であることを考えた人々がいた。
「悪魔に《魔術》があるのなら、人類にもそれと対になる《
その人々はそれから長い時間をかけて何世代にも渡る研究と実験を繰り返した。
そしてその探求の果てに、人類は悪魔に対抗する力である《加護》をその内に見いだしたのだ。
《加護》は人類に備わった超能力を体系化したもので、ごくわずかな特例を除いて、人によって1~3つの《加護》が発現することが判明した。
そして、発現する数が少ないほど、一つの《加護》が強力になること、普遍的に使えるものよりも、効果の限定的なものや特定の条件下でしか発現しないもの方が強いこと、中には戦闘に向かないものもあり、一度発現した《加護》は成長することはあれど、後天的に別種の《加護》には変化しないことなども分かった。
悪魔の使う《魔術》の力は普遍的な《加護》のそれに近いものであり、それよりも特殊で強力な《加護》を手にいれた人類の出現によって、両者の戦いは現在の拮抗状態にまで持ち込まれていったのである。
◇◇◇
では、話をミリアに戻そう。
ミリアの持つ《加護》は一つだけ。その能力は《氷雪操作》というものである。どちらかと言えば使い手の多い普遍的なタイプの《加護》だが、一つだけの《加護》ということもあり、その威力は中々に強力である。
しかし、問題はミリアの《加護》は他人とは違う特別なものだということだ。それは、普通の人間はその違いに気づかないだろうが、しかるべき人間が見れば一発で分かってしまうものだ。
そして、もしそのことがバレると間違いなく周囲の人間を巻き込んだ大混乱が生じる、そういったレベルの《加護》だった。
だから俺は、ミリアにできるだけ戦闘で《加護》を使わないように以前から釘を指していた。面倒に巻き込まれるリスクはできる限り減らしたかったからだ。
ミリアは良く俺の指示を守り、《加護》を使わないで行動してくれている。そんな中、今回の《加護》の使用は異例の出来事だといえた。
加えて、先に言ったように今回の《加護》の使い方は間違いではない。逃げ足の早い一角兎を範囲ごと凍らせて捕らえる。これはとても理にかなっている。無意味な行為ではない以上、ミリアのことを責めたりはできないだろう。
それでも、ミリアは俺の指示に背いたことを深く反省しているようで、いまだに体をびくびく震えさせている。
…………こういうところは可愛げがあるんだがなぁ。
俺は怯えるミリアの頭を優しく撫でてやる。驚いたミリアが目を見開く。その目を見て俺は彼女に告げる。
「ミリア、今回の《加護》は使い方として間違っていない」
「…………」
ミリアからの返答はなかったが、気にせずに言葉を続ける。
「俺は無計画に使って他人に見られるのは良くないからなるべく使うなと指示を出したが、しかるべき時にしかるべき目的で使うのは、むしろオーケーだと思う」
「師匠………」
「ただ、使うときや使った時は、必ず俺に報告すること。仲間内での隠し事はろくな結果を生まないからな。守れるか?」
俺の問いかけに、ミリアは威勢よく手を挙げて応えた。
「は、はい、師匠! まもっ、守るます!」
「ははっ、やっぱりアホだなミリアは。なんだよ『守るます』って」
「んもー、少し噛んだだけです! ………あっ」
言葉を噛んだことをからかったせいで、ぷりぷりとむくれるミリアの頭をもう一度優しく撫でてやる。彼女は頬を膨らませるのを止めて嬉しそうに目を細める。
俺はしばらくの間、彼女の気が済むまでそうしてやった。
◇◇◇
「よし、それじゃあ最後に一つ。氷などの温度変化を伴う攻撃は毛皮を劣化させる。査定を下げる結果になるから乱用注意な。はい、勉強終わり!」
「ありがとうございました!」
それからしばらくして、気を取り直したミリアに俺が最後のアドバイスを贈る。
ミリアが返事と共に大きく頭を下げて、今回の俺の師匠タイムは無事終了だ。
正直、今回の座学は中々に有意義だったと思う。ミリアにとってはもちろんだが、ミリアの《加護》について話を詰めれたのは俺にとってもメリットだ。仲間の能力について上手く把握してそれを活用することは勝利への近道になる。そういった点で今回の座学は俺にとっても有意義だったといえた。
しかし、座学ばかりでは飽きがくる。
やはり、《
俺は立ち上がってズボンの尻を払うと、同じように立ち上がったばかりで膝裏を伸ばしているミリアに声をかける。
「おい、ミリア」
「なんです師匠?」
「座学ばかりは退屈だろ? ここらで一つ模擬戦といかないか。お前がどれだけ使えるようになったのか、久しぶりに見たい」
俺の言葉にミリアが胸の前で拳をぐっと握る。その目には闘志の炎が宿る。
「………! いいですね、負けませんよ師匠!」
「ははっ、誰に向かって言ってやがる」
そうして、互いに軽口混じりの言葉を交わしながら、俺たちは階段を降りて決闘の場所へと向かっていった。
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