捏ねてないネタ
ケー/恵陽
「きょうのごはん」
「きょうのごはん」
カサカサと袋を開けて、コンビニのパンを喉の奥に流し込む。
味なんてしない。作業だ、こんなものは。
少し前まで、父と母と姉と笑い合って食事していたことが遠い昔のように思える。もう俺は食事をおいしいと感じることは出来ないかもしれない。そう思っても涙も出なかった。それこそが口惜しい。
一ヶ月前家族が亡くなった。
秋の紅葉綺麗な渓谷に両親と共に姉が旅行に行った。自分も行く予定だったのに、風邪を引いた。少し熱があって、大事をとって三人を送り出した。帰ってきたときには熱も下がって、土産話を聞くはずだった。しかしそれは叶わなかった。
旅行の最中に乗ったバスが事故に遭い、そのまま儚くなってしまった。葬儀などの諸々の処理をどうやってこなしたか覚えていない。ただ大学の友人たちが心配して来てくれた。その時の彼らの心配そうな顔を見て、自分がひどい様相なのだと気がついた。
心配をかけてはいけないと思いながら家の中を片付けていった。そして日常の中に自分を置き直さなければ、と思っていた。
ブブ、とスマートフォンのバイブレーションが机の上で跳ねる。
画面には友人からのメッセージが浮かぶ。
『生きてるか? 学校いつから来れそう?』
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・ごはんを食べる話 もっとライトに。
・一人暮らし。風邪を引いて、そのまま冬休み突入。独りがさみしくなった。
・友達はいる。恋人はいない。料理はできない。温かい食事が食べられない。美味しくない。味覚障害?
・友達がいる。勝手に泊まりに来た。勝手にご飯を作って、一緒に食べる。
・湯気の立つ温かいごはん。美味しそう。美味しそう? 美味しいかも? まだ味わからない。でも涙が出た。
・涙が、でた。
10000字以内。
◆桐生新 キリュウアラタ 俺
十九歳。一月五日生まれ。
大学生一人暮らし。
おとなしく、静か。あんまり自己主張しないけれど、流されもしない。
◆浦田大輔 ウラタダイスケ オレ
二十歳。新と同じ大学の友人。あんまり構うようには見えないけど、実は新を気に入っている。
好きなバンドが一緒で動画見て乾燥言い合ったりするのが楽しい。いつもバイトに明け暮れている。
◆嶋井夕子 シマイユウコ 私
二十歳。優史の彼女、優くんと呼ぶ。ちょっと丸っこい体型。性格もまるい。
栄養士の卵。何度か遊んだことがある。料理要員として手伝わされる。
◆広崎優史 ヒロサキユウシ 僕
二十歳。夕子の彼氏、夕ちゃんと呼ぶ。
明るく朗らかな青年。細い。夕子にメロメロ。
大輔と一緒に心配している。しかしラインをしても返事がいつも同じ。どうしたもんかと悩んでいる。
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これはカクヨムの短編のに出そうかなとプロット作ったんですけど、12月が忙しくてですね。なんだかんだと家のこととか仕事とかあって、もう応募用は諦めた。書くのは書けそうだったら、そのうち書こうと思います。
そしてプロットに「もっとライトに」と書いてあるのは家族死ぬ設定重すぎるなと思ったので、その一文足したんです。本文少しだけ書いてあるのは孤独になった設定ですけど、ライトに、の文言で単に風邪長引いて授業置いてかれて学校行くのに躊躇うようになった一人暮らしの子に変えようと思ったんですよ。
正直キャラクター設定とかは出さなくてもいいかなー、と思ったんですが折角なのでもうぶっちゃけてしまえ、という次第であります。
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