心に染みる味 お題:恋の酒 制限時間:15分

甘くて少し苦いお味。

柔らかな舌触り。

カカオの香りが鼻腔をくすぐる。

そんな素晴らしいお菓子が目の前にある。

そうチョコレートだ。

味だけでなく、造形までもこだわって作った一品。

それでいてあまり気取らないように気をつけて

作ったチョコレート。

もちろん箱と包装紙もしっかりと選んだ物を使用している。


そんなチョコレートが目の前にある。

そうもうバレンタインはとっくに過ぎているのに。

作った本人の目の前にある。

どうして?

そんなの決まってる。

わたせなかったから。想いと共にわたしたかった。

でもあれは仕方ない。

だって私が声をかける直前に別の人からのチョコレートをあの人は受け取っていた。

とても嬉しそうだった。

そして2人は熱い抱擁を交わしていた。

あんなの見たらもう仕方ないと言い聞かせるしかなかった。


そして今、私の目の前にチョコレートはある。

私はわたせなかったチョコレートを眺めながらお酒を飲みながら想いを馳せる。

これが失恋の酒。

ああ、とても心に染みる味。

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