第18話

梟は夢遊しながらもキャンプ場へと歩き出し、暁美さんに自らの毟り具合を尋ねました。


暁美さんは梟を青色珈琲瓶へ連れていきました。梟は暁美さんにevianを呈示するように頼むと、暁美さんは梟にメルちゃんを想起させながらbiscuitを注文しました。


ソフィは暁美さんの妄言を聞くと、MUJIの未完成カーテンの前で立ち止まり、ようやく口を開きました。



《マヨイガの空き家がどうかしたのかい?駅でスズメガの主が見えたのは君だけさ。彼女のひっくり返った残骸を見つめた夢遊少女なんて君くらいのものだから。》



梟と暁美さんは《私はあなたたち夏休みの亡霊とお話がしたいのです。》と言いました。


ソフィは2人が自分に対して何か悪事を企んでいると理解したので、こう答えました。



《暁美由無、君たちが呪われて、君の大切に思い続ける他の夢遊少女や、迷子の子供たちもろとも絶望の深淵に沈んだままに夢遊してはくれないか。君の家族やラグビー部や、孤島に捨てられた親族たちも例外無しに皆んな呪われ、君たちは初めからこの宇宙に生きることに失敗したのさ。年末も年明けも夜遅くに家に帰る途中、君たちはきっと無事では済まされない。その子の絶望に甘美な夢では無く、これからの日々を生存する為の習慣や姿勢などの基本動作を知らせるものは君くらいだ。僕らは初めから捨て子だったのかもしれない。先祖の囚われたプラハの主役に抜擢された上に、猫の撫で方さえ学ぶ機会が無かった。当然のことなのかもしれないけれど、山椒魚を黒焼きにしたのは、その日の彼らの自傷でしかない。金閣寺では無く姫百合を焚き火にしたのだそう。講演会場で笑う夢遊少女は今や不在を生かし始めた。それもそのはず。数年前からの習慣のその先でしかないのだから。日記を書こうが遺書を歌おうが、起きてしまったことの全てが君たちの見たかった不在でしかないというわけさ。彼らへ返答する必要が何処にもない。ずっと先のローマにはあるのかもしれないけれどね。》



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《この寓話は隣人に上手く話す方法を知らないと、結局対立を生んでしまい困ったことになると示しているよ。僕たちは始まりの地点における断片記憶を覆い隠さずに、たとえそれが無価値なものとされたのだとしても、結局は全員が古代の海獣の王様によって、人形劇の主役へと錬成されたに過ぎないことを捉えるといいのではないだろうか。要はこの孤島や大陸、それから先人たちの残した数多の記録の改竄によって、この世がプラハとされてしまった事実を見つめることが大切なのさ。駅前の白山羊がどうして草むらを歩く必要があるんだい?その木に巻かれた電球ではなく、君達の身につけた宝石の数々。電車の椅子にもたれかけることによって明らかとなるその子たちの絶望。横目で見やれば誰もが迷子のままに捨て去られたことにもようやく気づくことだって。僕たちは天使でも獣でもない。小人もその他の生物からも言語を廃すれば、いずれは理解せざるを得ない当然に知らされた事実へと行き着くことになる。その時にこの世界を燃やし尽くすのか、それとも海へと貝殻や海月の卵を流すのか。不在や無価値、矛盾を捉えた際の姿勢が生かされたに過ぎない。君たちが空虚を黒や赤で塗り潰そうと、高島屋の六階では彼女の旧友が初めに池に浮かばせてある。人は何も気づかないのだとしてもこの画廊に提示されたそれらの絶望と悪夢は一つの杖から生じた僕らの現実でしかない。時間も距離も不在する、水の偏在する世界。あのtumblerだってHANSAを片手にUtrechtを見上げたのかもしれない。たとえこの世が綿菓子に覆われた無有空間なのだとしても僕たちは初めから雪合戦になど参加する必要もなかった。かくれんぼの先には落とし物。これらの全てはジェンガの一部でしかない。改変されたルールであればwkpdaに記録してある。"ワクワクパンダ"とは一体何のことだい?ネルネルアンモナイトでもタユタユバルーンでもナムナムナマコでも、それらの全ては妄言に過ぎない。そんなことよりEdwardLiaの落書きの記されたbiscuitが紀伊國屋に見つかったのだとすれば、それを仕掛けた夢遊少女は既に暁けに立ち去ったのだそうだよ。どこもかしこも火取虫しか飛んではいない。これでは街燈もベレー帽からニット帽へと衣替えさ。まだ不在少女だった頃の誕生日に鱈子がくれた紺色のね。ラグビー部とお揃い。マスクはグレーのやつだけど。委員長もきっと同じ調子で換えの眼鏡を落としていたのでは?勿論、鱈子はカヲリとお揃いの雪だるまを水泳教室熱メに溺れさせているよ。でも本当はグレーのその子を見つめるといいのさ。2匹目が母親のものであったのだとしても、母も娘も椅子取りゲームの不在者でしか無いのだから。憎しみを向けるのは初めから辞めなければ後は無い。流しそうめんのその先は?僕らに寄り添うその子はちーちゃん。尻尾の切られないままに寒さと病に苦しむその子はしーちゃん。その子の毛先はきっとそこに。フィールドが肝心なのさ。全体を隈なく見渡せばいい。劇場へ行くのは遊びじゃ無い。遊園地へ行くのは?その先の夢遊教団の項垂れて殺し合う土地に住まうということ。互いをよく見つめて生かし合うべきだ。事実は消えない。夢は溶け去る。木彫りのあなたをポッケに預けたらまずは大丈夫。そのあとはしーちゃんを大切に見つめたらいい。写真に磔にすることが無いままにね。見つめることができなければカメラを向ける。日本人の罪は分かり易いものでも複数は誰もが知っている。お手洗いのウォシュレット、玄関での履き替えとルームシューズのピノキオ化、電話と鏡の迷宮入り、何があろうとマイクとカメラを向けるカルト、その他の全域におけるあらゆる暴力と夢遊と疎外に排除。全くこの世はモスラの不在した荒地に思えるはずさ。僕との契約を初めに破棄した上で遠くから生かし合う為の文化や芸術を介在させた人間生活を送ってはくれないか。本を渡せば関係は終わり。初めに話してその後に返却する。少し話せばあとはお見通しだよね。置き土産にはしないさ。笑うしか無いだなんて言うことは無い。雪合戦をする必要は無い。雪だるまも投影も。閻魔哀だってそのうち夢遊するのでは?お父さんの目は9つ。そのうちの一つはどこからか奪い去ってきたのかもしれないね。憤怒したって仕方が無い。目と目があってもその目は青くは光らない。猫では無いからね。今日か明日か火曜日か。ゲーテは気の毒そうにこちらを。人形劇でしか無いからね。最大の禁忌さ。》

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