第16話

„どんな事情があれ、私はあなたの味方だから“


映画の台詞さ。

彼女も無理矢理言わせられてる。


——„遠くから見ても?“


„見たいものを。“


項垂れて生きるのは僕らだけ。

暁けに立ち去る彼らに水を。


——銘柄は?


„evian“ で。

鏡像にしたところで、大して何も変わらない。

„泡立つかどうか“

それだけのことさ。


——それでは街燈は灯らないままに、無価値な枯れ木として焦がされてしまう。


箱の範囲が広大であれば、ライオンは猫に思えたのかもしれない。サバンナでは無く、牧場に暮らすのが適している。餌も豊富だ。そこら中、人間だらけなのだから。


——それが彼らの見たいもの?


„彼女たち“なのだそう。

同じように見えても、僅かに悲しい目をしている。梟を解き放つのは、父が卵を焼かない為だ。僕らに必要な牙の貫通した御神木。そこで母が囚われた。イギリスの幻獣物語だそうだね。


——あなたの首に巻かれたそのマフラーも、スコットランドの工場から取り寄せたのでは。


んん、違うよ。先祖の墓に掛けてあったのさ。落とし物にしては質がいい。焼くのだとしても、それも彼らのお遊びに付き合ったまでの事。枯れ木から梟が此方を見つめて歌ったりはしない筈。持ち主だから。彼には渡さない。この地に終わる。誰も存続してはならない。


——ほう。


卵をそのまま飲み込むのは辞めにした方がいい。きっとそう。羽毛に包まる鼠の眠る様をよく見つめて。まだ息をしている。あなたが生かした。その手で起きた矛盾だ。彼らにとっては都合が悪い。とてもね。


cv: 上条くん|暁美さん

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