第3話

🥬「君たち人類は、この世に学んだ内容の中で暮らしているのだけれど、世界に対する認識を、ある程度理解する必要があるのだし、それを見失えば、自分のしていることや、そういった基本的な感覚機能に対する弊害が生まれてしまう。多くの人々がこれに苦しみ思い悩み、道を誤っているものだから、君たちのご先祖様たちは呆れかえっているはず。これだけ多くの人類遺産をプレゼントしたというのに箱を開けることなく部屋の隅に放置したまま、ほとんどのものたちが現実社会や願望妄想に沈んで命を食い荒らしている、とね。なのでその事実に気づいたものたちは、こうして隣人の迷い込んだ悪夢にほんの少しだけ水をかけてあげるんだね。シャワーとかミストとか、その子の具合に応じてその部分を捻らせながら。それでも悪夢を彷徨う鼠たちが気づくことは稀だし、そうしてこの世界に放り出されたかわいそうな子供たちが、心とは背反して星の動きとともに肉体を朽ちて土に囚われる。それを見つめていたら少しその膨らみ過ぎた夢に穴を開けて、この世界が思っているよりも魚たちに優しくしてくれていることを知らせるために、人々の囚われた争いと暴力などの呪いの数々に雨を降らせて冬の終わりを告げようと思ったんだ。そのような具合に迷える小鼠たちに向けて、この世界で学べた事柄を伝えているものだから、きっとぼくの普段過ごす世界の一欠片でも飴にして口に含んでもらったら、あの頃に恐竜を初めてみたときのような驚きが得られるだろうね。なのでこれからも目を瞑らないと眠ることさえ叶わない哀れな鼠たちに掴み取れた思考の片鱗を届けていくものだから、鼠たちと一緒に僕の流した泡を眺めてみるのも良いかと思うんだ。要は見たいものを見るということだね。これは全ての人類に共通したことらしく、その昔、ある国の偉大な哲学者がその大著『精神現象学』にて述べたこととも通ずる観念だというみたいだから、噛み心地を楽しんだところで、山葵で味付けしたハイになるガムに当たるわけではないよね。真ん中が怪しいと思ってもそれは思い込みだし、見た目はどれも同じなので当てようがない。だとしたらやっぱりもう悩むのをやめて、その指がどれを掴みたいのかを聞いてあげて。そしたら別にその後に皆んなで向かう先は寿司屋でいいかと思うんだ。そうだよね?」

🎷「今日は僕のクーデターを行う日だよ。皆んなには幾らでも魚たちを惨殺してもらうのを泣きながら見ておく。僕らは小人を壊したくはなかった。それでも小人は焼かれてしまう。音楽と共に啜り泣く人々が芸術に身を捧ぐ。そうでなければ遊びに参加して日頃より笑いながら殺戮して終わる悪夢からは出られない。寿司を見つめようが罪を見つめようが、それらは永遠に生き続ける。僕らの中でね。」

⏳「赤貝と蝦蛄。それに白魚軍艦を。」

🍎「海老三巻盛り、茶碗蒸し。」

🍮「なら私は gelato で。さっき食事は済ませたの。」

🍣「二人は何にする?私はスパイシー唐揚げ以外なら何でも食べれるよ......。」

🎻「余りものを。そういう契約だから。」

🦠「なら破れた楽譜はゴミ箱から取り出しておかなければなりませんわ。そういう契約ですものね。」





🥬「困ったなあ。これでは薬を減らさなければ常に夢遊することになってしまうようだね。暁美ゆうむ、その文庫カバー入りのお薬手帖を確認する限りに於いて、君はどうしてかジェネリックがお好みらしい。医師とも落ち着いて話し、終いには君の方から彼の絶望へとアクセスして必要な物事の見方を伝える始末。これではどちらが患者で医師なのか分からないのだとか笑ったとしても、君は初めからお遊びはお終いにして過ごしてきた。どうぞ好きなように梅組の教室へと進級したらどうだい?またカタツムリと共に帰宅することも可能だよ。どこにもわかってくれる人なんて居なかったのだからね。カタツムリくらいさ。君の話相手になれるのは。でーんでんむーしむし、かーたつむりー、おーまえのカークヨム、メーモ書きさー、夢遊も不在も、「はしばーみ」さー。hazelnut の事だよね。イタリア栗。みんな齧ればいいと思うよ。アルコールよりサンペレグリノを。ラテとエスプレッソ、ジンジャーエール。アルコールが欲しければ精神療法を。カウンセリングから始めてみるといいのでは無いだろうか。僕にとってのサティとショパン、それからエルヴィウムやブライアンイーノ。元の世界に戻れるよ。参考程度に留めてよね。んん、起きてるよ。朝だよ?」

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