第32話 休日の過ごし方

「それより、ナズナちゃんは休みの日は何をしてるの?」

沙絵は話題を変える。

「勉強したり、アニメ観たり、本読んだり、漫画読んだりしてます。」

「えらいね。」

半分はそれほど『えらい』わけではない。

「わたしも勉強してるよ。」

レイも褒めてもらいたいのか。訴える。

「そうね。」

レイも『えらいね』が欲しかったが、それ以上何も言わなかった。ナズナはお茶を足す。

「なにかお菓子なかったかな。」

ナズナは立ち上がり、冷蔵庫へ。冷蔵庫の前でマヨの蓋を開けている。その姿はレイも紗絵も見ていたが、見ないふりをした。

 

 ナズナはマヨの蓋をクルクル開ける。ポテトサラダを作る時にはクルクルと蓋を開けて出すが、どんな形をしているのか気にも留めていなかった。出口は星の形だった。もしマヨの出口がスカル&クロスの形になっていたら、きっと膝から崩れ落ちていただろう。


 ナズナは冷蔵庫から何かを取り出し皿に入れて持ってくる。

「チョコしかなくて。」

「ありがとう。」

二人は言って、チョコをつまむ。お茶とチョコも合う。

「ナズナあれ見た?頭からグゥイン!てなるやつ。」

唐突に話が始まる。

「みたみた。おもしろいよね。」

「何巻までみた?」


 二人になにかのスイッチが入ったようだった。これで通じ合う二人が羨ましくも思えた。そして、沙絵は全く話に加われなかった。


 家の横で車の音。

「来たみたいね。」紗絵は言う。

車の音が止まる。二人は話を中断し、ナズナは立ち上がり外の様子をうかがっている。少ししてガチャリとドアの開く音。

「帰ったよ。」リンの声。ナズナは玄関に出迎える。

「なんで『帰ったよ』なんだ。あいつは。」

レイは呟き、お茶を飲む。


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