児童詩と少年少女詩の里
「児童詩と少年少女詩の里」https://kakuyomu.jp/user_events/16818093080928982903?order=published_at#enteredWorks へのご参加、有難うございました。今回は予想通りとはいえ、現在削除されている作品も含めて6名さまのご寄稿のみという寂しい結果になってしまい、申し訳ございません。カクヨムでも、児童文学や童話やジュヴナイルを書いておられる方は一定数おられるはずですが、少年少女向けの詩や童謡を書かれている方自体が少ないのか、それとも単に友未の集客力の乏しさ故か、一抹の寂しさを覚えます。また、8作品中、半数くらいが「15歳以下の読者を念頭に置いた作品」というよりは「15歳以下の読者にも理解できるはず」といった趣の大人の詩ではないかという印象を受けるものでした。
そんな中で、友未の心を射抜いたのは、暁香夏さまの二篇の詩、「井の中の蛙」https://kakuyomu.jp/works/16818093080107960526 と「道」https://kakuyomu.jp/works/16818093080513344340 です。共に、現代詩や大人の詩に慣れ親しんだ読者にとっては無技巧で平凡に過ぎると見做されそうな気もしますが、同じような内容であっても、他の多くの詩のように拵えられたわざとらしさが全くなく、作者の真情が素朴に純粋に胸に届いて来る言葉たちでした。以下に、全文をご紹介いたします。
井の中の蛙
井の中の蛙の気持ちを知っていますか?
蛙ははるかなる海が見たくて
毎日井戸の底で飛び跳ねているのです
でも井戸の入り口は遠すぎて
どんなに跳んでもとどかないから
空しい音をたてて
また井戸の底へと落ちてゆくのです
井の中の蛙の気持ちを知っていますか?
蛙はあの青い空を目指して
井戸を登って行こうとするのです
でも井戸の壁は平らすぎて
どんなにしっかりしがみついても
途中で滑り落ちて
また井戸の底へと落ちてゆくのです
井の中の蛙の気持ちを知っていますか?
蛙は今日も海を目指して
井戸の底でもがいているのです
どんなに苦しくても
海を目指して
遠い井戸の入り口と 平らな井戸の壁と
冷たい水に
一人立ち向かっているのです
誰に知られなくても
いかがでしょう?友未は寂しい笑顔で何度も何度も一緒に失敗してあげたい気持ちになって行きました。特別詩的な言葉遣いでもないのに、繰り返されるリズムが優し過ぎませんか。
道
ねえ、見ていて!
僕は僕の道を行く。
ねえ、見ていて!
ううん、やっぱり見なくてもいいや。
だって僕の道だから。
交差点で出会った時に、
「やあ、元気かい!?」って、
笑い合おうね。
こんなに単純なのに純粋で、泣がされそうになりました。この二篇だけでも今回の企画は大収穫です。
もう一つ、とても印象に残ったのが、結音(Yuine)さまの「人魚と内緒話」。https://kakuyomu.jp/works/16818093080366583008 0歳児から読み聞かせてあげたい音の詩です。作者のお名前の通り、音だけで織り成されて行く幸せな三つの世界とプラス1。ここでは、「笑い声」「気泡」「ヒソヒソ話」「ひみつ」のなかから、最初の「笑い声」と、次の「気泡」の全文をご紹介させて頂きます。
笑い声
くすくすくす
ぶくぶくぶく
ぷくくくく
すすぷぷぷ
くすくすくす
ぴっちゃん ぽん
気泡
あわわわわ
ふわわわわ
ぷぽぽぽぽ
ぷわわん ぽん
「ぽん」が可笑しくて、空行の取り方(行数)に感心させられました。本当にどなたか、水彩で夢色の絵本にして下さる方はいらっしゃいませんか?
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