第58話 いつの日か時間が哀しみを解決してくれます
自分語りを少し
母がくも膜下出血で倒れて意識不明となったときの衝撃は今でも忘れられません。すぐに病人にかけつけ緊急脳外科手術。主治医の土下座して頼みました。
どんな姿でもいいから生かしてください。その時、たいして惜しくもない自分の命を引き換えに、母を治して欲しいと心底願いました。
今ある自分の状況は全て母の尽力によるものです。母がいろいろあちこち手を尽くして、いろいろ援助もしてくれた。母の力で今の私はあるのです。私は母以上に愛する人はいません(父はどうでもいいです)。
主治医は願いを叶えてくれました。母は意思疎通が全く不可能な要介護5の廃人となったのです。救急車で運ばれたH病院はヤブで有名で、死にたかったらここへ入院しろと言われた病院でした。でも突然自宅で倒れて救急車は一番近いH病院へ搬送してしまったのです。
それから一年、母を受け入れてくれる施設を捜して奔走しました。そしてようやく入所が決まったと思ったら、父が自分で面倒をみると強引に自宅へ引き取りました。
そして食事の訓練や、といって胃瘻いろうを受けている痴呆の母に無理やり、すり潰したカボチャの団子などを食べさせて、誤飲性肺炎で母は亡くなったのです。
母の死は本当に悲しかった。母を死に追いやった父は本当に憎かった。
現在、母を思うことはめったにありません。父への憎しみや恨みも薄れました。
その時は一緒に死にたいと思っても、時は傷を癒してくれるものです。時間は全てを解決してくれます。最終的に死という宿命さだめがあなたを救ってくれるのです。
(“悲しみさえもいつかは思い出になる” 「三丁目の夕日」)
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