第40話 ふと人生は美しいと思える瞬間がある
少し前の話ですがこの世の終わりのような情景を目撃しました。コロナ自粛の時期の話です。近所のイオンが地下の食品売り場を除いて、営業停止になっていたのです。
一階も二階もエスカレーターは止まり、専門店街は入口にネットがかけられ、照明すら落とされて非常灯の光のみが無人の薄暗い廊下を照らしていました。今まで一度も見たことのなかった光景なので、正直大変な衝撃を受けました。
「ああ、終末というのはこういう光景なんだろうなあ」と
その帰り、寄り道して住宅造成地の間を歩いていたとき、雑草の生い茂る空き地を見て思ったのです。
「なんて美しい光景なんだろう」
普段ならなんでもない情景がとてもとても美しく輝いて見えたのです。もうそれだけで生きてきたかいがあったと、その時真剣に感じました。もしかしたら無人のイオンを見たときショックから、その時たまたまそう感じたのかもしれません。
でもその風景は数か月後の今でも私の心に焼き付いて離れません。
夕焼けが雲を赤く染める時、満開の桜並木、真夏の積乱雲、どんな人にも生きることが素晴らしいと人生を感動させる一瞬というものがあるのです。
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