第8話 障害を抱えた人々へ
呼吸器系の不治の病を抱えた人の告白を読みました。
何もしなくても息をするだけで苦しく、希望も未来もない。あるのは、息を吸うのに多大な力を必要とする身体だけ。
肺がセメントで固められているよう。マスクを30枚ぐらいして息をしているよう。歯磨きも苦痛、頭を洗うのも苦痛、歩くのも苦痛、息を安静時より余計に吸わないと出来ない行為はすべて苦痛。
これらは健常者には判らない苦しみです。軽々しく生きろとか希望を持てとか言えるものではない。もし本人がもうだめだと思うのなら、それを他人が止める事はできないと思います。
ですからその場合には最後にこう考えてください。
「よく頑張った」
「自分は本当にとことんまで人生をやり抜いた」
「辛い障害、重い病気を抱えてよくぞここまでふんばることができた」
と自分で自分を褒めてあげてください。あなただからこそ、苦しみを抱えてここまで生きていけたのです。誰にでもできることではありません。
立派なことではないですか。頭が下がります。健常者でも生きるのが辛いこの世界で不治の病や障害を抱えて、あなたはここまで一生懸命生きるために頑張ったのです。
ですから最後は、絶望と悲嘆ではなく自負と矜持をもって、そしてできうるなら笑って死んでください。
ただ一つ、何も言わずにこの世を去らないでください。最後にここまで頑張った生き延びた印を書き残してはどうですか。それを読む人に何か伝えられることもあるでしょう。
それこそが、あなたがこの世に生を受けた意義であり役目だったのかもしれません。
『人の将(まさ)に死なんとする其その言(げん)や善し』(「論語」泰伯)、です。
「ここは今から倫理です。」という漫画があります。人生とは何かを真摯に追及する、心にしみる名作です。
巻末で作者が制作のきっかけは、自殺した叔母が残した人生に対する告白ノートを読んだことだったそうです。
あなたの最後の言葉が人の心を揺さぶり、人生への道程となる事を衷心より祈念します。
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